【ずっと会いたかった人】「ごはん屋ヒバリ」の田中聖子さんに聞く、保存食のこと(3/4)

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2020.11.5

野菜料理がおいしいと評判の「ごはん屋ヒバリ」。広島の農家さんから届く野菜を余さずおいしく食べるため、店主の田中聖子さんは春夏秋冬「保存食」を作っています。この秋も、栗の渋皮煮や粒マスタード酢漬けもあっという間に売り切れ。そのおいしさの秘密を聞きたくて。

――「ヒバリ」の保存食作りは、味噌作りの教室から始まりますね。リピーターがすごく多いと聞いています。
毎年1月に開く「味噌仕込みの会」は、もう10年続いています。人って、毎日おいしい味噌汁とご飯があれば、どれだけ幸せかと思うんです。「これ、うちで作ったのよ」と言える幸せ。会に参加してくれた人が感想を送ってくれたのですが、この味噌で味噌汁を作ったら、夫がおいしい、と。「今年も行ってきたら?」とすすめたそうです(笑)。 
――うれしいですね。味噌作りって、難しそうなイメージがありましたが…。
いえ、とてもかんたんです。おいしくできると「また作りたい」「作り続けたい」と思ってもらえるので、できる限り上手に仕上がる方法を考えています。
――失敗はない?
失敗というより、その年の豆も違えば、気候や保存する環境も皆さん違うので、3年作ったら3年違うものができると思います。作り続けるうちに「いい菌」が家に棲みついてもきます。酵母研究家の友人の家では、テーブルに砂糖水を置いておくと、すぐにぷくぷく発酵してきます(笑)。人間と環境と菌とは影響し合って生きているので、それぞれのご家庭の味が作れれば楽しいですよね。
――コロナで集まりにくい状況が続いていますが、2021年1月の味噌仕込みは開催できそうですか?
はい、リモートで。材料を送って、画面を通して一緒に作る計画です。遠くて今まで参加できなかった方にも参加してもらえるのが、うれしいですね。私自身、実家に帰省するたびに母と味噌を仕込みます。ワークショップに参加してくださった方が、お姑さんと味噌をきっかけに仲よくなったと聞くと、自分の母ともそうだったように「お味噌を作るとおいしいね」と笑い合えるといいな、と。味噌のエピソードはいつも幸せなものばかりで、この輪がもっと広がるといいなと思っています。
手作りの保存食は、店内やお弁当で使うほかに、店内やオンラインショップでも販売している。
https://hibariclass.stores.jp/
――毎年の保存食作りのルーティンを教えてください。
1月の味噌仕込みに始まって、3月は木の芽、6月は実山椒、青梅は蜜で保存し、完熟梅は梅干しにします。らっきょうもこの季節、甘酢漬けに。夏はピクルスや干し野菜、初秋には青唐辛子と青柚子で柚子胡椒。秋は生姜の保存でジンジャーシロップや紅生姜、甘酢漬け。栗は渋皮煮や甘露煮にしておせちに備えます。冬は空気が乾燥して、また干し野菜の季節。こうして1年が巡っていきます。楽しみ、というより、必死です(笑)。毎年6月にらっきょう10㎏仕入れましょう、という話ではないんです。今年は豊作だと聞けば、私は全部仕入れて、全部おいしく食べられるように加工したい。だから毎年、何日も皮をむき続けてらっきょう漬けを作ります。青柚子と唐辛子が採れたら、また全部送ってもらう。それを柚子胡椒にする。生姜のシーズンは、ジンジャーシロップ。もう延々と作っています。
――大変な作業です。
おいしい野菜を少しでもムダにしたくないので。すべておいしく食べるための、私は保存役です(笑)。
――店内には、初めて見る「保存役」がたくさんあります。これ、「ガパオの素」ですか?
ホーリーバジルです。ヒンディー語で「トゥルーシィ」。タイ語で「ガパオ」。ガパオライスのガパオですね。ホーリーバジルに醤油、ナンプラー、味噌、胡椒。スイートバジルより清涼感が強くておいしいです。一緒にブッシュバジルも入ってきたので、こちらは醤油に漬けてバジル醤油にしておきます。炒めもの、お豆腐、餃子、焼き魚、卵かけご飯と、何でも使えます。
――もっていると便利ですね。
そう、食卓にピクルスがあるだけで、ほっとしますよね。それに、固定種の野菜には、収穫できない「端境期」があるんです。この夏などは、長梅雨で早く終わってしまった野菜も多くて、台風の時期がずれたこともあって秋野菜にも影響が出ています。そんなときこそ、保存食や乾物を利用するわけです。冬のうちにたっぷり切干大根を作っておきますし、大豆も1年中ストックしている。山菜も。それらが、お店やお弁当に加わってくれます。
ずらりと並ぶが、ホーリーバジルの調味料のように、初めて使うものにはレシピをつけてくれる。
――田中さんセレクトのおいしいものもたくさん。ひじきで、すごくおいしいものがあると評判です。
そうなんです! 山口県の「祝島(いわいじま)ひじき」。ここはとっても海がきれいな場所です。水で戻すとふっくらやわらかくて、搾って塩とオリーブオイルで和えるだけでおいしいサラダになります。
――味つけもシンプルでいいんですね。
はい。多めに作り置きしたいときは、醤油とバルサミコ酢と米酢を1:1:1で合わせたドレッシングがおすすめです。ひじきの香りとバルサミコ酢がすごく合います。和えて保存しておいて、食べる前に玉ねぎのスライスやセロリの薄切りを混ぜるとおいしいです。小さく切ったチーズを加えれば、満足感があります。
――塩やオリーブオイルも特別なものでしょうか。
オリーブオイルはスペインの「チャンベルゴ・ピコリモン」。オリーブの実を搾って、ろ過せず、上澄みだけを集めたもので、爽やかなオイルです。塩は「マルドン シーソルト」。「ヒバリ」で使っている調味料も、手に入るようにしていきたいと思っているところです。
写真は、塩とオリーブオイル、紫玉ねぎのスライスとさっくり混ぜ合わせたひじき。冷蔵庫で1週間くらいもつ。
――料理もシンプルですが、メイクも田中さん、最小限ですね。
料理の仕事についたとき、いつでも顔を洗えるように基本メイクはやめました。清潔でいることが一番大事なので。その代わりスキンケアは朝晩きちんとしています! 肌が乾燥してガサガサしていたり、手指や唇がカサついていたりがイヤなんです。
――とくに気を遣っているスキンケアはありますか?
料理をしているからでしょうか、唇、ですね。皮がめくれたりガサガサしたりすると、気になりますし、何だかお手入れを怠っている証明のように感じてしまいます。実は、唇をきれいに保ってくれる味方がいます。デルメッド リップトリートメントです。夜たっぷりつけて、朝唇がぷるぷるしていると1日中うれしくて。エプロンのポケットにも入れておいて、気になったらさっとつけているんですよ。
夏でも唇が乾燥するという田中さんが、今、手放すことのできないのが「デルメッド リップトリートメント」。
しっかり肌にとどまって、唇のタテジワもふっくら、ツヤも出る。
https://www.dermed.jp/store/item/00333.php?utm_source=DS&utm_medium=HBR3
●第4回(最終回)は、田中さんが新たな取り組みを始めた、そのお話です。

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田中聖子(たなか・せいこ)
「ごはん屋ヒバリ」店主、料理研究家

鳥取県生まれ。広島大学理学部修士課程修了後、公務員として研究所に勤務。旅先で広島の固定種の野菜に出合い、そのおいしさに衝撃を受ける。その後、農家との交流を通して、「食」への関心が高まる。2010年東京都世田谷区砧に、旬の野菜を軸にした料理を出す「ごはん屋ヒバリ」をオープン。料理教室も人気となる。2020年より、野菜、調味料、手作りの保存食などを扱うオンラインショップをオープン。ウェブ配信での料理教室も計画中。

http://hibarigohan.com/
https://hibariclass.stores.jp/
Instagram @gohan_hibari
Facebook @hibarigohan

撮影・青木和義 ヘア&メイク・広瀬あつこ 構成と文・越川典子

「ごはん屋ヒバリ」の食材&お箸のスペシャルセット、10,000円相当を5名様にプレゼントします。

(左上から時計回りに)広島県産無農薬らっきょうを純米酢、きび糖で漬けた「らっきょうの甘酢漬け」。スペイン産のピコリモン種のオリーブから採れた「オーガニックエキストラバージンオリーブオイル<チャンベルゴ・ピコリモン>」は、ろ過せず、上澄みだけを集めたまるでジュースのように爽やかなオイル。英国う王室御用達の「マルドン シーソルト」は海水のみを原料とし、平釜製法で仕上げたまろやかな味わい。有明産の一番海苔「磯板海苔」は、別格の風味、くちどけのやわらかさ。お箸はお店でも使っている、沖原沙耶さん作のヒバリオリジナル。瀬戸内の美しい海で育ったひじきを、鉄釜と薪で炊き上げた、山口県祝島特産「天日干しひじき」。どしどしご応募ください。