【ずっと会いたかった人】野菜料理が人気「ごはん屋ヒバリ」の田中聖子さん(1/4)

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2020.10.22

とびっきり野菜料理がおいしいと評判の料理店「ごはん屋ヒバリ」に行ってきました。東京・世田谷、祖師谷大蔵駅から商店街を歩いて3分。2Fまで緑に囲まれて、ひっそり。店主の田中聖子さんは、もと化学の研究者だったそうです。なぜ料理を仕事に? 知りたくなりました。

※今回から4回にわたって、お話を伺います。田中聖子さんセレクトの「おいしいものスペシャルセット」プレゼントもあります。

――野菜は苦手なのに、「ごはん屋ヒバリ」の野菜だけは食べられるという人がいます。
「ヒバリ」に来ると野菜を食べるのだけれど、家では野菜料理はまったく食べない。そういうお子さんがいます。舌は正直です。なぜなのだろう? と考えますよね。
――野菜の味、ですか?
野菜そのものがおいしいんです。広島の、ある農家さんから仕入れているのですが、味が濃く、力強い。15年前、たまたま出合った野菜がこんなにおいしくなかったら、私はお店を開いていなかったと思います。この味を伝えなければ! この野菜を引き立てる調理法は? と、使命感に燃えてしまった(笑)。
――なぜ、そんなにおいしいのでしょう。
固定種、在来種といって、昔からある種から作り続けてきた野菜だから、「自然」を食べているのと同じなんですね。日本には四季があって、最も栄養価も味もよい旬がある。食べる私たちも、その時々に「おいしい」と感じるカラダなのだと思います。
――おいしいとは理由があるのですね。
春には、山菜。暑い夏には、ナスやきゅうり、葉物も。寒くなれば、きのこや根菜類。自然の流れで食べていく理由があると思っています。私自身、実感しています。固定種の野菜に出合ってから、調味料も添加物のない伝統製法のものに替えていったら、いつの間にか目がよくなって(笑)。でも、考えたら不思議でも何でもないですよね? 目も脳も、内臓、皮膚……すべて食べたものからできているのですから。
お店の厨房に立つ田中さん。広島から届いたばかりの野菜を前にして、「そこから、どんな献立にするか、考えるんです」。
――大学での専門は化学だったそうですね。
大学院を修了後、広島県の公務員に。配属先の研究所では、賞味期限の設定やカロリー、発酵など食品に関する研究や検査、相談業務をしていました。その中で、官能検査というものがあって、「おいしい」「まずい」「好き」「嫌い」という概念は排除して、絶対的な目線で食品を評価する必要があったんです。
――なるほど、味って分析的なものなのですね。
「おいしい」って、個人の嗜好だし、感覚的なことですが、必ず科学的な「おいしいの法則」があるんです。塩分濃度、酸味、苦み、甘味、全体のバランス。「ごはん屋ヒバリ」の料理教室では、それを意識しながら話しています。すると、「再現性」も上がるし、予想が立てられるから「応用力」も身につきます。
――理系ならでは、ですね。
言われます(笑)。たとえば「かわいい」とか「かっこいい」とかにも法則はあって、なぜなのか、つきつめたくなる。料理を感覚でしていると、説明できない。「適量」っていうけれど、適量ってどのくらいか、ちゃんと伝えなくちゃいけない。だから説明、くどいタイプです。こういう理由があるから、こうするんですよ、と伝えたい。
ピクルスにしたビーツ、モロヘイヤのごま和え、長白ナスで翡翠ナス。四角豆のカレーリーフ炒めなど、7種の「夏野菜プレート」。竹のオリジナル箸はプレゼントにも。小さな豆までつまめる、絶妙な使い心地。沖原沙耶さん作。
――おいしいの正解は、あるようでない? ないようである?
へんな話なのですが、今は私、手放しで「おいしい!」という感覚がすごく好きなんです。なぜなら、味だけを分析的に食べている人は少ないですよね? 誰が作ったか、どこで食べたか、誰と一緒だったか、どんなふうに楽しかったか。それらが「おいしい記憶」になる。だから、お店って「人」なんだなって思うんです。
――お店が人、ですか。
私が作り、私と話す、ということもあるけれど、お店の食材、調理法、雰囲気、考え方、お店にいる他のお客様すべて含めての味だと思っています。
――料理教室など、お客様との交流も活発ですね。
食のベースは家庭。家庭で食べる味が一番だと思っています。私はそのお手伝い。心がけているのは、固定種じゃなくても「野菜っておいしい!」と感じてくれるようなレシピ。だって、いつもよりちょっとおいしいって、すごく幸せなことだと思いませんか。だから、誰が作っても、その通りに作れば必ずおいしくなる……そういうレシピを残したいと思って、日々せっせと研究ノートをまとめているんです(笑)。
お店は「人」だと田中さんは言う。せっせとレシピを作って発信する店主と、受け止めて暮らしに生かす客とで作る「人格」のようなものは確かにある。
――長い「おうち時間」、どんなふうに過ごしましたか。
3食、自分で作って食べて、運動して、よく眠って。カラダの変化を感じる貴重な経験をしました。今、お弁当を販売しているのですが、手渡す向こう側の人を、より思うことができるようになった気がします。
――体調がよくなったのですね。
はい。驚くほどに。ただ、年齢的に乾燥が気になってきて、これは睡眠をいくらとってもダメで……。肌がカサカサ、シワシワしていると、ほったらかし感が出るでしょう? そのマイナス分をなくすには、毎日「ちゃんとケアする」ということがすごく大事になりますね。
――肌の調子がいいと、気持ちも明るくなります。
最近、イヤリングしているんです、私。つけているだけで、ちょっと気を遣っているように見えるでしょう? 自分の気持ちも上がるし、その気持ちが表れる。だから、おうちにいることをきっかけに、スキンケアを、デルメッド プレミアム ローション、エッセンス、UVベイスに切り替えて、朝晩、続けることで、変わってきたんじゃないかな。
「もう、これでいいや」とあきらめるのは、さびしい。「肌も含めて、人生、きれいでいたいと思います」と田中さん。愛用しているデルメッド プレミアム ローション、エッセンス、UVベイス(右から)。
https://www.dermed.jp/store/item/00350.php?utm_source=DS&utm_medium=HBR1
●第2回は10月29日公開。固定種の野菜のおいしさについて田中聖子さんに教えてもらいます。

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田中聖子(たなか・せいこ)
「ごはん屋ヒバリ」店主、料理研究家

鳥取県生まれ。広島大学理学部修士課程修了後、公務員として研究所に勤務。旅先で広島の固定種の野菜に出合い、そのおいしさに衝撃を受ける。その後、農家との交流を通して、「食」への関心が高まる。2010年東京都世田谷区砧に、旬の野菜を軸にした料理を出す「ごはん屋ヒバリ」をオープン。料理教室も人気となる。2020年より、野菜、調味料、手作りの保存食などを扱うオンラインショップをオープン。ウェブ配信での料理教室も計画中。

http://hibarigohan.com/
https://hibariclass.stores.jp/
Instagram @gohan_hibari
Facebook @hibarigohan

撮影・青木和義 ヘア&メイク・広瀬あつこ 構成と文・越川典子

「ごはん屋ヒバリ」の食材&お箸のスペシャルセット、10,000円相当を5名様にプレゼントします。

(左上から時計回りに)広島県産無農薬らっきょうを純米酢、きび糖で漬けた「らっきょうの甘酢漬け」。スペイン産のピコリモン種のオリーブから採れた「オーガニックエキストラバージンオリーブオイル<チャンベルゴ・ピコリモン>」は、ろ過せず、上澄みだけを集めたまるでジュースのように爽やかなオイル。英国う王室御用達の「マルドン シーソルト」は海水のみを原料とし、平釜製法で仕上げたまろやかな味わい。有明産の一番海苔「磯板海苔」は、別格の風味、くちどけのやわらかさ。お箸はお店でも使っている、沖原沙耶さん作のヒバリオリジナル。瀬戸内の美しい海で育ったひじきを、鉄釜と薪で炊き上げた、山口県祝島特産「天日干しひじき」。どしどしご応募ください。