【ずっと会いたかった人】ハンドメイドの靴の魅力を語る長谷川良子さん(2/4)

2020.10.1

「なぜ『靴』だったのですか?」の問いに、「なぜでしょうね」と笑いつつ、「心が動いたものに素直に従った」と答える靴職人の長谷川良子さん。靴作りの面白さを聞きました。

――長谷川さんにとって「靴」とは、どんな存在でしょう。
私にとっての靴……そうですね。「心とカラダを前に運んでくれるもの」、でしょうか。心地よくて、どこまで歩けるような靴を履くことで、日々前へ進んでいける。見た目も気に入っていれば、すごく幸せな気持ちになると思うんです。たとえ着るものに手を抜いたとしても、お気に入りの靴を履くだけで自分に自信がもてる。足やカラダだけでなく、心も支えてくれる。そんな縁の下の力持ちですね。
――ブランドのロゴに八咫烏(ヤタガラス)を使っているのはなぜですか。
鳥をブランドイメージにしたのは、「羽根の生えた靴」を作りたいと思ったからなんです。
――羽根の生えた靴、ですか?
はい。そう思ったのは、友人が送ってくれたパリのルーヴル美術館での写真がきっかけでした。履く人の足も心も軽くなるような、どこか遠くへ運んでいってくれるような、そんな一足を作りたいという思いからです。
――今にも飛び立ちそうに見えますね。
一歩ずつでも、進んでいけば見える景色が変わる。いつもと同じ道でも、歩いていると些細な違いが目に入ってくることもあります。「歩くことは生きること」だと、ぼんやり思っています。
これが友人が送ってくれた写真。「GROWOLD」のブランドロゴは、この友人が八咫烏をデザインしてくれた。
――たしかに、靴は、人生の歩みを象徴しています。ベビーシューズはそのスタートですね。
ファーストシューズを贈るというのは、その赤ちゃんのこれから長く続くだろう人生を見守っていますよ、見届けますよ、という気持ちの表れ。贈られた側は、その思いを記念として大事にする。当たり前のようにある、ヨーロッパの習慣が、息子を生んだばかりの私にとっては、すごく心に刻まれたんだと思います。
――お店の入り口に飾ってある小さい靴から順に大きい靴まで並んでいますが、これは息子さんの靴だとか。
そうなんです。ファーストシューズから、入園、入学などの節目、節目に作って、彼に贈ってきました。こうして、あらためて見ると、思い出深いですね~。息子も小学校6年生のときだったでしょうか。私が贈った靴を絵に描いてくれて、それを私に贈ってくれました。人生最大の贈り物です。
――言葉よりも、靴を通してストレートに親心が伝わったと思います。
まだまだ、いろいろなことがあるでしょうね。遠くへ行ったり、ぐるぐる同じところを回ったり。山を登ったり下りたり。私自身も壁にぶつかったり、谷に落ちたり。その時は理解できないけれど、時がたってわかることもありました。もっと言えば、時が経なければ見ることができない風景がたくさんあると思っています。
息子のために作ったファーストシューズから、節目ごとに作った息子の靴。時の流れとともに成長を実感できる思い出だ。
――工房にはたくさんの道具がありますね。力も必要と思いますが、長谷川さん、華奢で、手指も繊細です。
いえいえ、二の腕も筋肉質ですし、手指の力もすごく強いんですよ(笑)。刃物も機械も使いますし、すべての工程を一人でするので、道具はたくさん使います。
――デザインもするのですか?
今あるデザインはオリジナルですが、毎シーズン新しいデザインを発表することはありません。靴は造形としても面白いのですが、こと私が作る靴に限っては、履いて「快適」であることが第一です。あくまで「履く人に寄り添う」、そこが魅力で、やりがいのあるところなんです。
――どんなお悩みが多いでしょう。
市販の靴では満足できない、色を楽しみたい、という方も。「自分を受け止めてくれた」「わかってくれた」という満足感がオーダーメイドということなのでしょう。完成までの半年から1年の間、そのお客様のことばかり考えています(笑)。ですから、手渡すときは、もうドキドキですよ~。
12年のキャリアを、使い込まれたこの道具たちがもの語っている。
――お客様の70%が初めて注文する方だと聞きました。
はい、本当に足の形や悩みは百人百様。毎回、勉強させていただいています。お渡しして喜んでいいただければうれしいですが、「GROWOLD」とのおつき合いは、そこから始まるんです。
――それは、どういうことですか?
きつければ調整しますし、中敷きなどの周期的なメンテナンスをさせていただいたり、お手入れの方法をお伝えしたり。皆さん、長く履いてくださるので、家族のようなおつき合いになることも多いんです。
――長くよい状態を保つには、お手入れが大事でしたね。
はい。汚れはその日のうちに取ってください。汚れた上からいくらお手入れをしてもダメなんです。たとえば、デルメッド バーム クレンジングのように、すっきり落として、次に使うものを受け入れる準備をするわけです。この気持ちよさを知ってしまうと、靴もきれいにしてあげると気持ちがいいだろうと納得できます。そうそう、お手入れのコツ、靴も乳液やクリームをつけるときは、「手」でぬるといいんですよ。こんなことも、肌のお手入れと同じですね。
手のひらにのせるとバームが水のようにとろけていく感触に驚いた。「次に、メイクを落としたあとの気持ちよさ、しっとり感も続きます」。長谷川さんが愛用している、デルメッド バーム クレンジング。
https://www.dermed.jp/store/item/00396.php?utm_source=DS&utm_medium=HSGW3
●第3回は、京都に移住して5年の長谷川さんに、その暮らしぶりをお聞きします。

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長谷川良子(はせがわ・りょうこ)靴職人

「GROWOLD(グロウオールド)」主宰ー

アメリカで大学卒業後、国際線客室乗務員として勤務。生花店を立ち上げたのちに、結婚してドイツに在住。革の子ども靴に興味を抱き、靴の製作を本格的に学び始める。2009年、神奈川県・茅ケ崎市で靴工房「Waldweg」を立ち上げ、のちに東京・青梅市に工房を構えるが、2016年京都市に移住。ブランド名を「GROWOLD」と改める。国内外からオーダーを受け、半年から1年待ちの人気の工房に。

https://www.growold.jp/
Instagram@growold_shoes

撮影・青木和義 ヘア&メイク・桒原千鶴(HAIR PITS) 構成と文・越川典子

「GROWOLD」オリジナル、すべて手縫いの革のルームシューズ15,000円(税別)を3名様にプレゼントします。

表は足なじみのよいイタリアの牛革を、裏地には肌触りのよい国産の豚革を使用。保湿性、通気性ともに優れ、1年を通じて使えます。履くほどに、革がなじみ、履き心地も育っていくのがわかります。ステッチのほつれ、クッションの交換などのメンテナンスも受けてくれるので、長く愛用できます。色は全4色の中から、人気のカーキとキャメルを選びました(色指定はできません)。ふるって、ご応募ください!