モデル・優恵の笑顔日記「明日も笑う所存です。」

ESSAY vol.27

エッセイ

【モデル・優恵の笑顔日記『明日も笑う所存です。』】 Vol.27「物持ちが良過ぎるようです。」

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2022.6.29

大人のフリル。

小学校の卒業式に母が用意してくれた真っ白いブラウスの少し大きい襟の縁にはレースが付いていました。生成りのベストとキュロットの上下に甘いブラウスを合わせるのが母とわたしの好みでした。中学生の時に母が選んだ黒いブラウスにも襟にカットワーク刺繍がほどこされていました。合わせたベルベットのティアードスカートはチュールのペチコートでボリュームを出して、なかなかシックなお出掛け着でした。大人になってもレースが付いたブラウスやハンカチ、ふわふわと広がるスカートが大好きなのは変わりません。SINMEのブラウスは甘過ぎず、程良い加減のフリルと黒い縁取りとタックが心憎い1着です。

SINMEのブラウスです。リヨセルとコットンの生地なので着心地も良く、その上扱い易く優れものです。

あのこけしは今いずこ。

マトリョーシカも好きなのですが、こけしも好きです。でも日本中に様々な形やお顔のこけしがあるようですので、集め始めると我が家の人形ケースでは納まりません。いつも「見るだけ、見るだけ」と手を出さずにいます。20歳を過ぎた頃に鳴子のこけしを戴いたことがありました。先日、突然にそのことを思い出し、あのこけしはどこへ行ったのかと我が家の人形ケースを探しましたが、見当たりません。おそらく実家の引っ越しの際に手放してしまったのだと思います。目の前に無い物への執着心が急に湧いてきました。あぁ、あのこけしが今あれば。

鎌倉のコケーシカというお店を訪ねました。こけしとマトリョーシカの専門店です。一番左は祖母から父に譲られたものでわたしが生まれるより以前から我が家にあります。その隣の入れ子のこけしと右側のこけしのお顔のマトリョーシカはコケーシカで買い求めました。真ん中の細い2体は手紙を中に入れてそのままポストに投函できる通信こけしです。

虎のことを思います。

我が家の虎をふたつ。オンラインの習い事や打ち合わせの際にはコーヒーを入れた水筒を用意します。中学生の頃から使っていた物と友より贈られて20年くらい使っていた物が立て続けにダメになってしまったのと、600ml入る物が欲しかったので思い切って新調しました。もうひとつは、WWF(世界自然保護基金)とフランスの紅茶メーカーKUSMI TEAの共同プロジェクトで「世界のトラとトラがすむ森を守るために」作られたチャイ オブ ザタイガーというお茶です。スパイシーで堪らなく良い香りです。地球も虎も守りたいというたくさんの思いにわたしの思いも寄せて。

かねてより「次はこれにしよう」と考えていたTIGERのカスタムボトルから、色を悩んだ末にポーラーベア(白)にダークブラウンのスクリュー栓を選びました。とても気に入っています。

コンバースのスニーカー。

国内コーヒーショップのドリップ後のコーヒーで染められたというオールスター、コーヒー色がとても気に入っていましたがサイドが剥がれてきました。もうすぐお疲れさんです。次の一足は濃い黄色にしました。高校生の頃、同級生の女の子がマスタードイエローのローカットを履いていて、その後ろ姿を「可愛いなぁ」と見ていたことを思い出しました。機能を追求して作られた近代的なスニーカーも好きですが、コンバースで足元の色遊びを楽しむのも大好きです。

わたしは足首が弱いのでいつもハイカットです。次は何色にしようかと悩むのがまた楽しいのです。

文と写真・優恵

優恵

ゆえ

モデル・俳優。ティーン誌『mc Sister』の専属として活動を始め、カバーモデルをつとめる。『non-no』『SO-EN』など多くの女性誌、TVコマーシャル、ファッションショーなどで活躍。20代後半からは映画、ドラマに出演し、活動の場を広げる。近年の出演作品に、美玖空トライアル公演「女は女で、女である」(2021・美玖空 脚本/演出)、『秘密のフレグランス』(2021・富田大智 監督)、『Motherhood』(2019・萬野達郎 監督)、『しあわせだったにゃよ』(2019・利重剛 監督)、『午後の悪魔』(2017・中村真夕 監督)、『アイズ』(2015・福田陽平 監督)、『PASSION』(2008・濱口竜介 監督)、インスタシネマ『女図鑑』(2019・美玖空 脚本)などがある。ドラマとファッションとおいしいものと花をこよなく愛する。フォトエッセイ『昼寝の前に』を連載中。https://6ropeway6.com/

撮影・青木和義