【ずっと会いたかった人】北欧ジャーナリスト・森百合子さんのインテリア(1/2)

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2022.5.19

北欧のライフスタイルを発信し続けている森百合子さんは、築88年の古民家をリノベーションして、北欧のエッセンス溢れる暮らしを実践しています。TVや雑誌で見た、憧れの森さんのご自宅は、何だかとても居心地がよくて、以前から知っているお家のような錯覚も。そんなふうに感じる理由、森さんのお話からわかってきました。

※今回から2回に渡って、森百合子さんのお話を伺います。森さんセレクトのイッタラのフラワーベースを著書とセットにしてプレゼントします!応募フォームはページの最後にあります。

――日本の古民家と北欧のテイストがとても合っていますね。
実際に家具を置いて、こんなにしっくりくるのが不思議にも思えましたが、調べていくと、日本と北欧のデザインはお互いに影響しあってきているんですよね。木製家具をはじめ自然素材を好むこともそうですし、北欧のシンプルで機能的なデザインは、日本の生活道具やものづくりに影響を受けている部分もあります。暮らし方や価値観など、根っこの部分で通じるのだと思います。
――ファブリックなど、色が印象的です。
北欧スタイルといえばナチュラル系のイメージが強いですが、実際にはカラフルな部屋も、モードな部屋もあります。冬になると日照時間がとても短くなるためか光への思い入れが強いです。白い壁が好まれるのも、光を反射して部屋を明るく見せるからといいます。そして気持ちが明るくなるような色を上手に組み合わせているんですよね。
――森さんの家も色はあるのに、不思議とすっきりして見えます。
色のトーンを揃えているからでしょうか。例えばカーテンで使われている色に合わせて、まわりに置く絵やクッションカバー、キャンドルホルダーなど雑貨の色を選ぶようにしています。私は、極力モノを減らしてすっきりシンプルに暮らすというよりは、好きな物をうまく見せつつ部屋づくりをしたくて。北欧で見てきた部屋でも、物がありつつごちゃごちゃしない、そんな空間を参考にしています。
――家の中で、森さんがいちばん長く過ごす場所はどこですか。
リラックスしたい時はリビングのソファですね。このソファはスウェーデンのデザイナー、ブルーノ・マットソンが日本の家に合うようにデザインしたものなんですが、座り心地がとてもよくて、うっかりすると仕事をする気がなくなってしまうほど。後ろの窓には、季節ごとにファブリックをかけ替えて楽しみます。
――薄手のファブリック。夏に向けて、ですか。
夏は薄手のものや軽い色味のもの、冬は温かみのある色づかいにしたり。でも完全に光を遮るようなカーテンはしなくなりましたね。わが家も古い家で暗くなりがちなので、光を取り込む北欧のスタイルにならっています。
夏仕様に、部屋全体をブルーのトーンでまとめた。向こうに見えるダイニングテーブルの上にはアンティークの照明が。
イッタラのベースに花を活ける森さん。「北欧の家を訪れるようになって、花も気軽に楽しむようになりました」。壁にかかっているのは、蚤の市で見つけた絵皿や銅の菓子型。
イースターの時期には、黄色を多めに。ネコヤナギのファブリックはスウェーデンのデザイナー、マウド・フレディン・フレードホルムのもの。合わせているのは会津木綿。窓辺には愛猫のホタテが。(撮影・森百合子)
――そもそも、なぜ北欧に心惹かれたのでしょう。
きっかけは、1998年に日本で開催された「アルヴァ・アアルト展」でした。何も知らずに見たのですが、いつかフィンランドにアアルトの建築を見に行きたいと思うほどに惹かれて。数年後にフィンランド大使館と仕事をすることになり、フィンランドについて知るにつれ、これは行かねばと。初めての北欧旅行では念願のアアルトの自邸やサマーハウスも訪れました。アアルトは北欧を代表する建築家ですが、暮らしていた家は豪邸というよりは親しみが感じられるような空間で、取り入れたくなるようなアイデアもありました。一般の住宅を見てもやはり家やインテリアの質が高い。繰り返し旅するようになったのは、家のあり方に惹かれたのも大きいです。
――それから20年近く、北欧5か国に取材にいらしています。
出会った人たちにも恵まれました。北欧に行きたかったもうひとつの理由であるダンスを通じて、また取材を通じても友人ができて、家に泊めてもらったことも。おかげで旅とは違う、暮らしの部分をのぞくこともできました。家に遊びに行くと、手間をかけているのもあって、部屋ひとつひとつを見せてくれるんですね。インテリアの話をするのが好きですね。
――人と人との関係が近いですね。
家でもてなすのに慣れているなあと思います。日本でも最近知られてきましたが「フィーカ」という言葉は、スウェーデン語でコーヒーを飲みながらおしゃべりしたり、くつろぐ時間をさします。オフィスにもフィーカの習慣があって、仕事の手をとめて、ひと息つくんです。取材したオフィスでは3時に鐘が鳴ると奥の仕事部屋から人がぞろぞろ出てきてみんなでワイワイとフィーカしていました。こういうコミュニケーションを大事にしているんでしょうね。
スウェーデンの古い魔法瓶にたっぷりコーヒーを入れて自宅でフィーカ。コーヒーカップはノルウェー製のお気に入り。好きな柄のソーサーを小皿代わりに使っています。
旅するたびに集まっていった北欧のビンテージ食器。和食や和の器とも案外と組み合わせやすい。朝食、パスタやカレー、おかずをよそったりと日常的に使っている。
――居心地のいいインテリアにするコツはあるのでしょうか。
居心地のよい時間や空間を指すデンマークの「ヒュッゲ」という言葉も日本で注目されていますが、デンマークの知人から『ヒュッゲに必要なのは自分らしさだよ』と言われたのが印象的で。確かにいろいろな家を訪問してきて、それぞれにその人らしさが伺えました。
――自分らしさ、ですか。
どんな色が好きで、何をしている時間が好きか。自分と向き合って選ぶことを繰り返しながら、居心地のいい空間を作っているんだと思います。だからたとえ素晴らしいデザインだとしても、自分の暮らしに合わなければ選ばない。私も「あなたらしい部屋ね」って言われると嬉しいですね。
――自分のことって、知っているようで知りません。
好きな物がわかってくると、必要がない物もわかってきますよね。北欧は幸福度が高いと言われますが、自分がどうししたいかを知ることで欲張りすぎず、結果的にラクに生きられるのかななんて思います。スウェーデンに「ラーゴム」という言葉があって「ちょうどいい」とか「多くも少なくもない」状態を表すんですが、北欧らしい感覚だなと思います。
――ラーゴム、「ほどほど」みたいなイメージでしょうか。
そうですね。自分にとってちょうどいい状態を見つける。住まいもそうで、以前は部屋づくりというと構えてしまうところがありましたが、自分にちょうどいい状態を見つけていけばいいのかと。家の居心地がよくなると気持ちも安定します。北欧は自然が厳しく、とくに冬は暗い時間が長く鬱々となりがち。だから部屋の居心地をよくするのは、暮らしの知恵でもあるんだなと思います。
――照明使いもリラックスできますね。
光に敏感で、灯りや照明の使い方が本当に上手です。ひとつの部屋の中にいくつもの照明を置いて、灯りを重ねてほどよい明るさにするんですよね。わが家でも暗くなりがちな部屋の隅に照明を置いたりと、灯りを組み合わせています。北欧の人のようにひとつひとつ点けたり消したりは面倒くさいので、一部はタイマーでオンオフしています。キャンドルもよく使うようになりましたね。いまでは明るすぎる部屋では落ち着かなくなってしまいました。
よく使うのはティーキャンドルを入れる小さなキャンドルホルダー。いくつか並べて使う。部屋の雰囲気が良くなるので、来客時にも必需品。
猫の絵やオブジェが並ぶ。真ん中の版画は、森さんが子どもの頃に作ったもの。「つい集めてしまう猫ものをまとめて飾ったらいいコーナーになりました」
――北欧のライフスタイル、肩の力が抜けている感じがします。
フィーカの習慣もそうですが、夏休みもしっかり取るし、休む時はちゃんと休むようにしていますよね。休みの日は森に出かけるとか、息抜きが上手だと思います。
――いろいろな季節の北欧にいらしていると思いますが、どの季節がお好きですか。
やはり初夏から夏の終わりにかけての気候は気持ちがいいですね。日が長くて、蚤の市なども盛んで、旅をするのにいい季節。湖で泳いだり、森を散策したり、自然のなかで過ごすのも気持ちいい。冬は暗い中に照明の美しさを感じたり、クリスマス時期ならではの町や人がウキウキしている感じも好きです。伝統的な煮込みやオーブン料理をおいしくいただけるのも寒い季節の楽しみです。寒いといっても家の中は快適な温度に保たれているので案外と旅もしやすいです。ただ乾燥は気になりますね。
――湿気のある日本とは大きな違いです。
日本でもそうなんですが、唇が乾燥しやすくて。冬場に手入れせずに油断していると、笑った拍子に唇が切れることもあって。家で仕事をする時もこまめにリップクリームを塗るようにしています。デルメッド リップトリートメントは保湿力があって、使いやすいのも気に入っています。
デルメッド リップトリートメントでこまめにケアするのが習慣に。

商品

唇用トリートメント

リップトリートメント

【情報】商品番号 331 【容量】8g 

通常価格2,420円(本体価格2,200円)

公式サイトで購入
※次回の配信は、6月2日。森さんに、北欧のファブリックの使い方をお聞きします。

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森 百合子さん(もり・ゆりこ)
北欧ジャーナリスト

北欧5カ国で取材を重ね、ライフスタイルや旅情報を中心に執筆。主な著書に『3日でまわる北欧』(トゥーヴァージンズ)、『北欧のおもてなし』(主婦の友社)など。近著『日本の住まいで楽しむ 北欧インテリアのベーシック』(パイ インターナショナル)では築88年になる自宅で北欧インテリアを楽しむノウハウを伝える。執筆活動に加えてNHK『世界はほしいモノにあふれてる』『趣味どきっ!』などメディア出演や、講演など幅広い活動を通じて北欧の魅力を伝えている。北欧の食器とテキスタイルの店『Sticka スティッカ』も運営中。

https://hokuobook.com/
Instagram @allgodschillun

撮影・黒川ひろみ ヘア&メイク・レイナ 構成と文・越川典子

イッタラの「アルヴァ・アアルト コレクション ベース」と著書『日本の住まいで楽しむ 北欧インテリアのベーシック』をセットにして2名様にプレゼント!

フィンランドを代表するブランド、イッタラ。人気の「アルヴァ・アアルトコレクション ベース」はデザイナー、アルヴァ・アアルトが1936年に発表したフィンランドデザインの象徴ともいえるもの。今年の新色のコッパー(高さ160mm 税込27,500円)を、森百合子さんの書著『日本の住まいで楽しむ 北欧インテリアのベーシック』(1,870円 パイ インターナショナル)とセットにして2名様にプレゼントします。本では、築88年になる森さんのご自宅に、どう北欧スタイルを取り入れているか、たくさんの写真とともに紹介されています。どしどしご応募ください。

イッタラのHP https://www.iittala.jp/

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