【ずっと会いたかった人】人気のフローリスト・注目の若井ちえみさんに聞く、フローリストとしての未来(4/4)
「お店の経営には向いていない」と自己分析するフローリストの若井ちえみさん。「duft(ドゥフト)」を立ち上げて5年、「扱うのが「花」でなかったら続けられなかった」と話す若井さんに、仕事をする女性としての「これから」を語ってもらった。
- ――「花」だから続けられたとおっしゃる、若井さんの原点って何でしょう?
- 幼いころから、絵具遊びが大好きで、絵もずっと描いていました。絵画も花も、色・質感の世界。組み合わせで魅力的に見せたり、個性を際立たせたりできます。絵を描くような、う~ん、もしかしたら彫刻に近い作業かもしれないと感じることがあります。
- ――お店の雰囲気もギャラリーのようですね。
- 美術館、ギャラリーのピンと張りつめた、無機質な空気が好きです。その空間を作っている建築に興味がわいてきて、最近はとくに、バウハウスに代表されるモダニズム建築が好きですね。お店の照明や什器もドイツのものなんですよ。時間を見つけては、建築を見に行くこともあります。
- ――イベント会場、ウェディング会場でのお仕事も、とてもユニークです。
- イベントやディスプレイの仕事は、大変ですがやりがいがあります。クライアントの方に、イメージや背景を詳しく伺って、空間に合わせて作り上げていく工程はとても楽しいです。見た目の真新しさだけではなく、目的、内容、空間に合わせて、「命ある花だからこそできる装飾」を心がけています。
- ――たしかに。生花ならではのエネルギーを感じます。
- そうですね。装飾の時も、家で飾るのと同じように、人間の都合で切り取られた「切り花」という限られた命を、1本1本、最後まで魅力的に輝かせたいと思ってしています。そして、をれを見た人が、家に帰った時に、「お花っていいな」「飾ってみたいな」と思ってもらえるのが、私の目標なんです。
- ――今までで一番思い出深い装飾はなんでしょうか。
- それぞれに思い入れがあるので難しいのですが、最近ではチューリップを300本ほど天井から吊るした装飾は、なかなかハードでした。脚立に何度も上り下りするので、足腰がフラフラです。装飾の仕事は、かなりタイトな時間の中で行うので、その中でいかに完成度をあげて作り上げるか、精神と肉体の戦いです。クライアントに合わせて様々なものを作りますが、「duft(ドゥフト)」の作るものを理解してくれて、任せてくださる時は、心地よいプレッシャーとともに、面白いものを作るぞ、という気になりますね。
- ――ブーケや作品を作りながら、お店を経営する。大変なことだと思います。
- 本当に(笑)。私、お店の経営という点では、まったく向いていないんです。扱っているものが「花」でなかったら、とうにやめていたと思います。生きている花に触れることで、私自身が癒されてきました。だから、この4年間で、どんな形であれ、一生花から離れることはないだろうという確信みたいなものは得られたんです。
- ――今後、花のお仕事はどんなふうに広がっていくのでしょう。
- ここ1,2年、とくに花の生産者の方たちとの交流が増えたんですね。どんなふうに花が栽培されているか。どんなふうに育つのか。種のことから、収穫から出荷の流れまで。育つ現場を見て初めてわかることもたくさんあります。お客様にもっと花のことを伝えていきたいし、教室ももっと開いてみたい。学びつつ進んでいければいいと思っています。
- ――これからどんな女性になりたいと思っていますか。
- むずかしい質問ですね~。誤解を恐れずに言えば、菩薩のような女性。動じない、広い心をもった人でありたい。アクシデントの多い日常なので、表面上だけでも(笑)、いつでも笑顔で落ち着いていたいですね。
- ――プライベートでも少し変化があったそうですね。
- 結婚したことですね。たしかに、一人の時と違いますね。年齢的にも、これから家族を作りたいという思いもあり、もっとたくさんの人と関わって、「duft(ドゥフト)」という小さな渦を、少しずつ大きくしていきたいと思います。
- ――お肌の状態からも、充実した感じが伝わってきます。
- うれしいです。私、シミ、シワはできるならないほうがいいのですが、人生が顔に出る女性のほうが好きなんです。努力はするけれど、変化は受け止める、いい感じの顔が理想です。 そんな私が、最近とくに気に入っているのは、デルメッド ナイトリッチという夜用美容液。すばらしい香りなんです。私は生花を扱っているので香りには敏感なのですが、ナイトリッチをつけるたび、フランキンセンスの香りに包まれて、心穏やかにいられるんです。
●次回から、美容家の川邉サチコさん、川邉ちがやさんに母娘に、おしゃれの極意をお聞きします。お楽しみに!
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若井ちえみ(わかい・ちえみ)
フラワーデザイナー、「duft」オーナー
1986年北海道生まれ。フラワーショップ勤務を経て、2016年5月、東京世田谷区、松陰人社前にフラワーショップ「duft(ドゥフト)」をオープン。一人ひとりのお客様と向き合い、丁寧にブーケやアレンジメント作りが評価されている。店舗やイベントのディスプレイ、撮影のスタイリングなどでも活躍。店舗は不定休。躍。店舗は不定休。
撮影・青木和義 構成と文・越川典子