会いたかった人
【ずっと会いたかった人】パン屋&パン教室「kuboぱん」の久保輝美さん(3)
行列ができるパン屋「kuboぱん」の魅力はベーグルだけではありません。レトロな店内に並ぶアンティークや作家ものの雑貨、こだわりの食材。それは、全国を飛び回る店主の久保輝美さんが惚れこんで仕入れたものばかり。久保さんの「好き」を聞いてみました。(※現在は閉店。2021年から北海道で活動予定。)
- kuboぱんのお店にはパン以外に雑貨もたくさん置いてありますね。
- お店では、ベーグルだけでなく塩やオリーブオイルなどの食材のほか、皿やグラスなども販売しています。どれも私の大好きなもの。店の前に出している看板には「bread、food、clothes、life」と入れました。kuboぱんには、食材があり、身につけるものがあり、そして暮らし……もしかしたら「人生」を楽しく過ごすためのヒントがあるかもしれない、と思ってもらえたらいいなと思って。扱っている商品に作家ものやアンティーク雑貨が多いのは、人の手のぬくもりを感じられるから。人の人生や作る人の息遣いが感じられるものって、どこかほっとしますよね。それが私にとっての心地よさ。心地よさは独り占めしないで共有したほうが、ずっと楽しいなって思うんです。
- おいしいものに囲まれている時間も幸せですよね。
- カラダのことを考えて、糖質を減らしたり、いい油を摂ったり、自称ベジタリアンだったりもしますが、おいしいと感じる気持ちが大事だと思っています。「なんておいしいんだろう。幸せだなぁ」って感性全開で食を楽しんでいるときって本当に幸せ。最近は肉も魚も少しなら食べます。ときには、甘いアイスクリームも(笑)。旬の果物はジャムにするのも習慣です。ぐつぐつと煮込んでいるうちに、果物の香りが台所に充満する感じも、とろみとつやが出てきたときの色味も、ジャム作りのすべての過程が愛おしいですよね。おいしいものは、作っているときも、食べているときも、そして食べたあとも幸せ。kuboぱんがそんな幸せを届けられたらなと思っています。
- 好きな場所があれば教えてください。
- 近所で言えば、「調宮(つきのみや)」。狛犬ならぬ、狛ウサギがいる珍しい神社です。また、秩父の三峯神社には年に1度必ず訪れます。お使いのオオカミ「御眷属(ごけんぞく)」のお札を借りてくるためです。そして、北海道。私、北海道が好きすぎて、ついに札幌に小さな部屋を借りてしまいました(笑)。kuboぱんのベーグルに道産の小麦粉を使っているのも北海道が好きだから。食べ物がおいしい、自然が美しいのは言うまでもないですが、何よりも人が優しい。外から来た人を受け入れてくれるのは、開拓者精神なのでしょうか。「おかえりなさい」で迎えて「いってらっしゃい」で送り出してくれる。kuboぱんも北海道のように人を広く受け入れる場でありたい。初心者大歓迎。どんな話でも受け止める。夏にはキンキンに冷えたドリンクで。冬にはほっとするハーブティでもてなす。そうやって心地よい空間を作っていけたらと思っています。
- 快適に暮らすコツを教えてください。
- よく「今日はいい日、悪い日」って言いますけど、いつも不思議に思うんです。「悪い」と言ってしまっていいのでしょうか。事実として嫌なことや困ったことがあったとしても、それをどう受け止めるか。そこから「何を拾うか」が大事だと思っています。自分を気持ちよくしてあげることも必要。寝具にアロマスプレーをかけて好きな香りに包まれて眠るとか。肌へのスペシャルケアもいいですね。最近では、デルメッド ホワイトニング マスクが気持ちよかったです。厚手のコットンにたっぷり美容液が含まれていて。次の日会った人に「あれ、なんかきれいじゃない?」とほめられてご機嫌になったりして(笑)。心地よいものが引き寄せる幸せってあると思います。
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久保輝美(くぼ・てるみ)
埼玉県さいたま市浦和区にある築40年の店舗で営んでいたパン屋&パン教室「kuboぱん」で、大人気のベーグルを販売するとともに、パン教室、イベントや企画展示会、ワークショップなどを開催。久保さんの「お話」が話題となり、予約のとれないイベントも多かった。店舗は2020年6月をもって閉店。2021年春に北海道に移住し、あらたな試みをスタートさせる予定。詳しくは下記から。
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撮影・青木和義 文・高橋顕子 構成・越川典子