行列のできるパン屋「kuboぱん」の店主・久保輝美さん。週に数回、店舗でパン教室を開いています。レッスン内容はベーグル、コッペパン、食パン、カレーパンにシナモンロールと実に多彩! 久保さんとのおしゃべりを楽しみに来るリピーターも多いそう。どんな教室なのでしょうか。(※現在は閉店。2021年から北海道で活動予定。)
- レッスン内容は生徒さんからのリクエスト形式とは珍しいですね。
- 「こんなパンを作りたい」というリクエストをいただいたら、Instagramで生徒さんを募集するんです。リクエストをくださった方を含めて、3名集まったら開講。6名からのプライベートレッスンも受け付けていますが、こちらも基本的にはリクエストに応える形です。いつも決まったことをするよりもおもしろいですよ。レッスンの後には、みんなでおしゃべりしながら焼きあがったパンをいただきます。私、みなさんとおしゃべりしたくて教室を開いているんです。パンは私にとってコミュニケーションツールなんですね。
- Instagramに「#パン教室のようなパンセラピー」と書いてありましたね。
- 生徒さんに「なぜkuboぱんに来たんですか」と聞くと、「癒されにきました」とか「今まで違うことをするために来ました」といった答えをいただくことが多いんです。「生きること」をいったん立ち止まって考えたいと漠然と思っている人が来ていると思います。楽しくおしゃべりをしてほしいから、「正解、不正解」「いい、悪い」と言うようなジャッジはしない。なんでもOKという姿勢。でも、結局いつも私が話しているほうが多くて(笑)。しゃべりすぎて脱線。仕事もそっちのけになってしまいます。
- おしゃべりのテーマは決めていますか?
- 流れに任せていますね。でも、質問はします。たとえば……「あなたの人生において、『こうあるべき』と『こうしたいからしている』は何対何ですか?」という質問。0対10の人もいれば、5対5の人も。そこから、みなさん、自分のことを語りだします。自分を犠牲にしているのかなとか、心が満たされているなとか、いろいろ感じますね。そんな中でも素敵な表現や、ピンとくる言葉は、メモさせてもらいます。生徒さんのお話、本当に面白い。私、いつも感動してしまうんです。それがあるから、パン教室はやめられません。
- 自分を癒すためにどう過ごしていますか。
- どんなに忙しい日でも、必ず自分と向き合う時間を作るようにしています。本を読んだり、音楽を聴いたり、食べたいものを食べたり……。好きなことを思う存分すると、また頑張ろうって思えます。夫と話す時間も大事ですね。「すばらしいね」とか「ありがとう」は意識的に伝えるようにしているかな。そんな私の影響を受けてか、彼も少しずつ変わってきました(笑)。今、右頬のシミを消したくて毎晩クリームを塗っているのですが、この間「何か若返ってきたんじゃない?」と。嬉しいですよね。もっときれいになろうって、素直に思えます。
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久保輝美(くぼ・てるみ)
埼玉県さいたま市浦和区にある築40年の店舗で営んでいたパン屋&パン教室「kuboぱん」で、大人気のベーグルを販売するとともに、パン教室、イベントや企画展示会、ワークショップなどを開催。久保さんの「お話」が話題となり、予約のとれないイベントも多かった。店舗は2020年6月をもって閉店。2021年春に北海道に移住し、あらたな試みをスタートさせる予定。詳しくは下記から。
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撮影・青木和義 文・高橋顕子 構成・越川典子