会いたかった人
【ずっと会いたかった人】パン屋&パン教室「kuboぱん」の久保輝美さん(1)
もちもちのベーグルが大人気のパン屋&パン教室「kuboぱん」を営む久保輝美さん。オープンする日には開店前から行列ができ、あっという間に完売してしまいます。ベーグルの味もさることながら、久保さんの魅力にひかれて訪れるお客さんの多いこと!そんな久保さんとじっくり話してみたい。早速、お店を訪ねてみました。(※現在は閉店。2021年から北海道で活動予定。)
- 久保さんがパン屋になったきっかけを教えてください。
- パン屋さんになりたかったわけではないんです(笑)。専業主婦をしていた頃、友だちにパン教室に誘われて。暇だからという理由で参加し、そのまま何となく講師の資格を取って、「教えて」と言われたので自宅で教室を開き、店舗が空いたのでお店を構えて……という具合。最初はいろいろなパンを作っていましたが、知り合いに「ベーグルが一番おいしい」とほめられ、ベーグル1本に絞ることにしました。まさかたくさんの方が買いに来てくれるパン屋さんになるなんて思いもよらなかった。でも、偶然のように見えて、目の前で起こることすべてに意味があると今になって思います。
- ご自慢のベーグルを教えてください。
- プレーン、アップルマンゴー、ブルーベリー、純胡椒は定番。あとは、気まぐれです(笑)。夏は、キリっとした苦みのあるエスプレッソベーグル。冬はほっとするようなココアベーグル。季節の果物のベーグルも人気です。半分にスライスして、サラダやジャムをはさんで食べるのもおすすめしています。基本的に自分が食べたいものを作っています。好きなこと、楽しいことだけをしていたいんです。わがままかな。でも、心をときめかせているほうがおいしいパンをつくれると思うんです。
- 常連さんが多いみたいですね。
- 近所のママさんが多いんです。「子どもがぺろりと食べちゃいます」なんて嬉しいことを言ってくださる方も。販売は週に2~3回。朝8時から開店の13時までに100個くらいベーグルを作ります。もくもくと作業するのは苦手だから、3人のスタッフとワイワイ……私が一方的にしゃべっていることもあるかな(笑)。楽しい時間です。スタッフですか? 教室の生徒さんだった方がほとんど。手際のよさや食の好みも重要ですが、何よりもおしゃべりが大事。人と話すことで気がつくこと、癒されること、前向きになれることって多いから。
- おいしいベーグルを作るコツを教えてください。
- 特別なことはしていません。水、きび砂糖、北海道産の粉を3種類ブレンド。ミキサーでこね、発酵機に入れ、大鍋で茹でて、オーブンで焼く。改良を重ねて今のカタチにたどり着きました。ミキサーでこねる前に必ず、「おいしいベーグルになってくれてありがとう」と声をかけます。過去形で言うんですね。願いではなく、必然になりますから。自分に対してもそう。こうなりたいと思うことを過去形でつぶやきます。寝る前のスキンケアタイムにも、鏡に向かって「きれいになってくれてありがとう」。自作自演? そうかもしれない。でも、言葉にすることに意味があると信じています。
関連記事
久保輝美(くぼ・てるみ)
埼玉県さいたま市浦和区にある築40年の店舗で営んでいたパン屋&パン教室「kuboぱん」で、大人気のベーグルを販売するとともに、パン教室、イベントや企画展示会、ワークショップなどを開催。久保さんの「お話」が話題となり、予約のとれないイベントも多かった。店舗は2020年6月をもって閉店。2021年春に北海道に移住し、あらたな試みをスタートさせる予定。詳しくは下記から。
Instagram @kuboterumi8888 / @terumi.kubo / @kubopanshopchannel
twitter @kubo88
facebook @kubopan+α
撮影・青木和義 文・高橋顕子 構成・越川典子