日傘作家のひがしちかさんは、東京と神戸にショップをもっています。2017年にアトリエと住居を長野県の八ヶ岳山麓に移し、制作活動を続けています。夫と3人のお子さんに囲まれた自然の中での暮らし。日傘に描く絵は変わったのでしょうか?
- 八ヶ岳山麓で暮らすようになって、作風に変化はありましたか?
- 黙々と作業するのが好きなんですね。はたから見たら不便と思う暮らしも、不便に感じない。大変じゃないとは言わないけれど、手をかけることが楽しくてしかたがない。鶏を飼って、毎朝卵をもらって食べる。お味噌づくり。お米も手伝わせてもらっていますし、山菜を採ったり。そうそう、最近、養蜂も始めたんです! 毎日の小さな感動が積み重なって、私の腕を通して、表現されていくんだと思います。目指すは「半農半傘」ですね(笑)。
- 話している表情も、すごく楽しそうです。
- 以前は、寝ている時間以外はアトリエにいたのですが、今は制作の時間は確実に少なくなりました。でも、不思議なのは、制作する本数は変わらないんです(笑)。早朝に起きて、コーヒーを淹れて、制作。ひとしきり仕事をしたあとに、朝食づくりをして、子どもたちを起こします。そんな生き方が心地よく感じています。3歳の息子はすごく変わりましたね。おとなしかった子が、毎日泥んこになって遊んでいます。あら姿が見えないと思うと、車の屋根の上にあおむけに寝ていたり、赤いマジックで足に毛を描いて「オオカミだぜ~~」とか見せに来たり。私自身も、あまり頑張りすぎなくてもいいと思うようになりました。
- ひがしさんの絵は「心象風景」と言った人がいたそうですね?
- はい。そう聞いて、「育った田舎町の美しい風景が私の中にしっかり根付いているんだ」とうれしくなった記憶があります。長崎県・諫早(いさはや)の海岸の青い海。コスモス畑の花の色。滝の中で見たキラキラした泡の光。夜の暗闇。明け方の空の色。雨上がりの匂い。野草の葉っぱの一枚一枚。石の模様。果物。……私から生まれるものは、私の中にしかないもの。私の傘を見て、これだ、と思って手に取ってくれたとしたら、そんな私と体験を共有してくれているのだと思っています。
- 忙しい毎日ですが、自分を取り戻すのはどんなときですか?
- 山の家は、標高1180m。日差しは強く、ダイレクトですし、冬は気温が-20℃にまで下がる。肌にとっては過酷ですよね? 引っ越したばかりは慣れなくて、毎日の暮らしがサバイバル状態でした。自分をケアする時間もありませんでした。しかも、私の肌は、すぐ日焼けしてしまうんです。ですから、朝晩のスキンケアの時間は、自分と向き合う大切な時間になっています。とくに、デルメッド ホワイトニングクリームは、好きで使い続けて、もう1年になりますでしょうか。肌を今の状態に保てていられるのは、このクリームのおかげかもしれませんね。
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ひがしちか(ひがし・ちか)日傘作家
1981年、長崎県諫早市生まれ。文化服装学院卒業後、アパレルの仕事などを経て独立。1点ものの日傘ブランドとして「Coci la elle(コシラエル)」を、2010年にスタートする。ブランド名は、手仕事で「拵える」からとった。ブランド名通り、ひがしさん自身が一本ずつ手書きや刺しゅうをほどこして日傘制作をしている。現在は、オリジナルプリントの雨傘やスカーフ、ハンカチ、アイフォンケースなども制作・販売する。東京・清澄白河、神戸と2軒のショップをもつ。2017年に長野の八ヶ岳山麓にアトリエと居を移し、さらに精力的に制作を続ける。ビジュアルブック『かさ』(青幻社)がある。
https://www.cocilaelle.com/
撮影・黒川ひろみ 前田和尚 構成/文・越川典子