【ずっと会いたかった人】スープ作家・有賀薫さんのこれからの10年(2/2)
毎朝スープを作り続けて10年たった今年。「毎朝のスープのSNS投稿は卒業します」と宣言した有賀薫さん。「今まで、したくでもできなかったこと」を実践するために時間を使いたいというのですが……はてさて、その新たなチャレンジとは? 有賀さんのこれからの10年計画、聞きたくなりました。
※記事の最後に、有賀薫さん愛用のフライパンと新刊をセットにしたプレゼント情報があります。
- ――毎朝のスープ作り、卒業なのですね?
- はいっ! 卒業です。でも、スープはいつも作っているんですけれどね(笑)。なぜって、朝寝坊の息子も独立したこともありまして、「ずっとしたかったこと」「したくてもできなかったこと」をしたくなったんです。
- ――できなかったこととは。
- 旅、なんです。
- ――旅! どんな旅ですか?
- 私のスープの原点は、「暮らしを支えたい」という思いなんですね。そこに立ち返って、新たな学びのためのスープの旅。この4月から、静岡の由比に桜えびを訪ねる旅。香川へいりこの旅。沖縄へ島豚料理の旅。長野へりんごとシードルの旅。何が面白いって、「暮らし」が見えるから。食材、扱い方、保存方法、調味料、調理法……食を通して、その土地に住む人々の暮らしが見えてきます。気候に合った暮らしは合理的です。ムリがない。ムリがあっては、暮らしは成り立ちません。
- ――見ることで、変わるのですね。
- 変わります。実際に見て、味わって……という体験はとても大事だと思います。旅とはまた別の体験ですが、最近、デビュー前にやっていたスープの実験室「スープ・ラボ」を「だしらぼ」としてまた復活させたんです。第1回は、いりこだし大研究。香川のいりこにすっかり魅せられ、関心のある人たちと一緒にだしの実験をしました。ネットや本ではなく、リアルに知ること、実験することで、たとえ味噌汁のだしひとつでも、確実に変わってきます。
- ――今日は、簡単にできるスープを教えてくださるということで、楽しみに伺いました。 何のスープでしょう?
- 『ライフ・スープ』にも紹介した、ミネストローネスープです。ミネストローネっていうと、玉ねぎやらズッキーニやら、野菜を何種類も刻まなくちゃいけないと思う人が多いでしょう?もちろん、たくさんの野菜が入ったミネストローネは、いろいろな人がおしゃべりしているみたいで楽しくて、味わいも深くなって大好きだけれど。でも、今日お見せしたいのは、究極のシンプルレシピ。玉ねぎ、にんにく、トマトジュース、塩だけで作るの。
- ――それだけですか? ハードルが急に下がりますね。
- でしょう? 見ていて、あっという間にできますから。まず、にんにくのみじん切りと玉ねぎの薄切りを鍋に入れ、オリーブオイルを加えてから火にかけ、少し水を加えて蓋をしてから蒸らし煮をします。ここが肝心。じっくり味を引き出すんです。
- ――(鍋の中を覗いて)玉ねぎが透きとおってきましたね。いい香りもします。
- おいしくなってきましたね~。ここにトマトジュースと水。味つけは塩だけです。味を調えたら、卵をぽんと割り落として、と。半熟で食べるのが最高においしいです。さ、召し上がってください!
- ――ん~~、おいしいです!!
- 野菜はたった1種類。1年中あってうれしいスープ。ミネストローネの「原型」のようなスープです。でも実は私、本場のイタリアでミネストローネを食べたことがないんですよね。「原型」を知るためにもイタリアの各地でミネストローネを味わってみたいです。これから10年のテーマは「食の旅」。興味は尽きません。
- ――「だしらぼ」など新しい活動で、有賀さん、楽しそうです。
- スローガンは、「おいしいだしで世界に平和を!」ですから。目的は壮大(笑)。今は自分のために時間を使える年齢になりましたので、存分に夢中になることができる。それが楽しい。旅も「だしらぼ」も、ゆるっと始めて、自分の中で何かが発酵、熟成されるのを待つ。文章だったり、写真だったり、絵だったり。表現することが好きなので、どんなものを表現することになるのか、自分でもわくわくしています。
- ――新しいレシピも生まれますね。
- そうですね。今までと違うことをすることで、新しい何かが生まれることはよくありますね。ですから、「あえて」違うことをしてみる、というのは私の方法なんです。ふきんを絞るとき、上下にひねって絞っているけれど、それを逆に絞ってみると、脳がメリメリと動くのがわかるんです。いつも右手でしていることを左手でするだけでも違う。料理も同じで、手順をあえて変えて見たり、素材の扱いを変えて見たり。あ、こうすると味が変わるんだとわかると、また別のレシピにつながってくる。
- ――筋トレみたいです。
- そう、ピラティスみたいなもの。基本のところを鍛えていくと、自分の「おいしい」も見えてくると思います。すごく楽しいですよ。
- ――「スープ作家・有賀薫」が誕生して10年後、また「新生・有賀薫」が生まれたようです。
- たしかに、第二の人生がスープ作家なら、今からが第三の人生かもしれませんね。今までは「このままでいい」「変わらなくていい」と思って生きてきたところがありましたが、知らないこと、知らない人にたくさん出会うことで、どんどん新たな世界が広がってきています。今、57歳ですが、人生こんなに楽しくなるとは、想像以上でした。
- ――肌にもツヤがあって、いきいきしていらっしゃいますね。
- 実は、スキンケアも変えてみたんです。今までは、スキンケアできれいになりたいとも思わなかったし、肌が不快じゃなければいい、トラブルがないことを目標点にしていました。とくにホワイトニング系のスキンケアは肌に合うものがなくて、無縁なアイテムだと思っていたのですが、今回、デルメッド ブライトニング クリームを使ってみて、よりよい効果を求めてもいいのかもしれないと思うようになりました。
- ――使い心地はいかがですか?
- 気に入っています。仕事柄、香りの強いものは使わないのですが、このクリームは香りがほのかで、すっと消えてくれる。休む前につけるのが習慣になっています。明るい肌を期待しています。
- ●次回は、10月21日配信。日本チャイルドボディケア協会代表の蛯原英里さんが登場します。
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有賀薫さん(ありが・かおる)
スープ作家
ライター業のかたわら、2011年から寝坊の息子のために、毎朝スープを作り続けて10年。スープのレシピ数は、3500を超えた。スープの実験室「スープ・ラボ」を主宰すると同時に、各メディア、イベントなどで日々ラクに暮らすためのシンプルなスープレシピを発信している。著書に『365日のめざましスープ』『朝10分でできるスープ弁当』『こうして私は料理が得意になってしまった』『スープ・レッスン』など多数。最新刊は『ライフ・スープ くらしが整う、わたしたちの新定番48品』。
Instagram @arigakaoru
https://note.com/kaorun/
撮影・黒川ひろみ ヘア&メイク・レイナ 構成と文・越川典子
●お皿にもなる「フライパン ジュウ」(7,700円税込)と有賀さんの新刊『ライフ・スープ』(1,650円税込)をセットにして5名様にプレゼント!
「鉄製のお皿」と呼びたくなる「フライパン ジュウ」。外せる木製のハンドルと並べると「10」の字になることから、このネーミングとなった。そのままテーブルに出せて、「つくる」と「たべる」を一つにしたデザインが美しい。プレゼントはMサイズ(内径20㎝)7,700円(税込)を5名様に。有賀薫さんの新刊『ライフ・スープ くらしが整う、わたしたちの新定番48品』(1,650円税込 プレジデント社刊)とセットにしてプレゼント。どしどしご応募ください。
問合せ・TENT×藤田金属(株) ☎072・949・3221 https://jiu10.com/