【ずっと会いたかった人】レシピ3500を超えたスープ作家・有賀薫さん(1/2)
大人気のスープ作家の有賀薫さん。雑誌でTVで、有賀さんが紹介してくれたレシピがどれだけおいしかったか。どれだけ助けられたか。そんな声をよく聞きます。有賀さん自身も毎朝スープを作り続けて10年。なぜ続けられたのか? なぜ日々違うレシピが生まれたのか? 教えてもらいました。
※今回から2回に渡って、有賀薫さんのお話を伺います。ページの最後に、有賀さん愛用のフライパンと新刊のプレゼント情報もあります!
- ――毎朝スープを作って10年。レシピ数も3500を超えました。
- 息子を朝起こすために始めたスープ作りですが、いつの間にか10年を超えて、自分でも驚きますね。毎日欠かさず作って、5年たち、初めての本『365日のめざましスープ』を出してから、スープ作家という肩書が生まれたんです(笑)。そのとき私は52歳でした。
- ――大変じゃなかったですか? 1日も欠かさず、というのは。
- いちばん質問されることですね。「毎朝スープを作って大変じゃないですか?」「どうしてそんなに次から次へとレシピが浮かぶんですか?」と聞かれたけれど、スープは楽しくて仕方がない。スープを作り始めたころには、すでに20年以上、3食、献立を考え、食事を作ってきたわけです。このほうがどれだけ大変だったか! 私にとっては、ですが(笑)。
- ――毎食の献立を考えるだけで大変です。
- 主婦の仕事って、マルチタスクでしょう? だから、私は苦手だったんです。片づけ始めると、片づけることに夢中になってしまう。一つのことに、のめり込んでしまう。不器用。だから合格点をとることができなくて、自信がなかったんです。それが、毎日スープを作り続けて、仕事になって……となると、その集中力が生きてくる。スープは、まるでマジックのように暮らしを変えてくれました。毎朝のスープがあることで、いつの間にか寝坊の息子が起きてくるようになった。何より仕事になることで好きな料理が思い切りできるようになった。スープで私は自由になりました。
- ――自由! 有賀さんの自由をさらに表現したのが、この調理台「ミングル」ですね。
- はい。ミングルとは、テーブルに、IHコンロとシンク、食洗機がコンパクトにおさまったオリジナルの「ごはん装置」です。料理をしながら食事もできる。片づけもできる。私は、家事というのは、一人が抱え込むものじゃないと思っています。ここなら、おかゆを炊きながら、話もできる。家族も手を出しやすい。参加しやすい。いくら簡単なレシピを伝えても、レシピだけじゃ、行動は変わらない。システムの問題でもあるんです。
- ――ミングルの上では、コトコト何かが煮えています。
- 「サムゲタン」です。でも、私のは無理なく作れる簡易版。丸鶏に詰め物などしません。手羽先と胸肉で作ります。もち米の代わりに、ふだん使っているうるち米で。こんなに簡単にできて、栄養があって、おいしくて。ミングルの上で炊いておくだけ、いつの間にかできています。さ、味見をしてみてください~!
- ――お~、おいしい! 何だか、うれしい味ですね。
- そう、うれしいんです。あるとうれしい。スープのよさって、これに尽きますね。暮らしを支えてくれる、暮らしを守ってくれるもの、という位置づけです。
- ――9月末発売の新刊『ライフ・スープ』にも、このレシピがのっていますね。
- この10年の集大成です。厳選したベーシックスープばかり。どこのスーパーでも手に入る食材で、手間いらずの私のベストバージョンです。より楽しく、よりラクな暮らしを実現してほしくて、この本を作りました。スープ作家と呼ばれていますが、実は私、未だに「有賀先生」と言われるのになじめないんです(笑)。料理のプロではなく、あくまで「生活者」の位置にいたいし、それが私の役目なのだと思っています。
- ――有賀さんにとって、おいしさって何でしょう。
- 食材を選んだり、食材の味を引き出したり、組み合わせたり、味をつけたり……おいしさを追究することも大切なこと。でも、ムリしなくていいと思います。私にとっては、同時に「ラクに暮らすための食」も外したくない大事な軸なんです。カラダを作り、支える目的もありますが、食は、人との関係を作るためのものでもあります。泣いているときに差し出されたアンパンがものすごくおいしく感じることもあるでしょう。だから自己犠牲やムリをする必要はないし、作り手が疲れるようではいけないと思っています。
- ――ミングルもそうですが、有賀さんはとても道具にこだわっていますね。
- 鍋は、30も40も使ってきましたが、いつも手にとるのは決まってきます。鍋ではないですが、ここ何年かの中で、すごく重宝しているのが「フライパン ジュウ」です。ミングルのIHの上にのせてみましょう。こうして野菜を焼くのですが、どうですか? 目の前でジュウジュウと音を立てて焼き上がるのは楽しくないですか? 皆でビールを飲んだりおしゃべりしたりして待つ時間もすごく幸せなんです。
- ――今回のプレゼントにもなりましたね。
- そうです。ハンドルを外せば、そのまま美しいお皿です。鉄製なので、鉄分も摂れますが、お手入れは簡単。水とタワシで洗うだけでOK。油がなじんで、いい感じに変わってきます。ほらほら、焼けました! この野菜をスープに入れてもおいしいですよ。
- ――たしかに! 有賀さんからは、他にも「かつお節にお湯、塩だけ」のスープなど、たくさんのアイディアを教えてもらいました。
- そう言ってもらえるとうれしいです。実際、おいしいんです。こういうレシピを伝えることで、きちんと作らなくてはいけない。正しく作らなければいけない。そんな強迫観念から自由になってほしい。家庭料理という名で、母親の手作り信仰や愛情のバロメーターのように語られるのは、幻だと思います。リアルな食を一人ひとりが考えていけばいいのではないでしょうか。
- ――ご自身が、毎朝スープを食べてきてよかった! と思うことは何でしょう。
- 毎日、相当な量の野菜を摂れることですね。そして、冬でも夏でも温かいものを摂れること。肉や魚、卵を加えれば、タンパク質も充分。私は、甘いモノやお酒も好きで、気ままな食生活を送っていますが、不思議と体重コントロールができています。10年前、20年前より、むしろ今のほうがずっと体力があって、不調知らずなんですよ。
- ――すばらしい! 体調がよい証に、有賀さん、肌がとてもきれいです。
- 今、58歳ですが、肌は乾燥知らず。毎日、スープを作りながら蒸気に当たっているからでしょうか(笑)。寝る、食べる、動くという基本が人間、大事ですね。スキンケアも同じです。大事なのは、まず洗顔。私は、泡立ちにはちょっとうるさいんですが、デルメッド ウォッシング マイルドの泡はふわふわでキメが細かい。突出してよい泡です! その前に使うバーム クレンジングも、メイクをするする落としてくれてストレス知らずです。
- ※次回の配信は、10月7日。有賀薫さんが今、夢中になっていることを伺いました。
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有賀薫さん(ありが・かおる)
スープ作家
ライター業のかたわら、2011年から寝坊の息子のために、毎朝スープを作り続けて10年。スープのレシピ数は、3500を超えた。スープの実験室「スープ・ラボ」を主宰すると同時に、各メディア、イベントなどで日々ラクに暮らすためのシンプルなスープレシピを発信している。著書に『365日のめざましスープ』『朝10分でできるスープ弁当』『こうして私は料理が得意になってしまった』『スープ・レッスン』など多数。最新刊は『ライフ・スープ くらしが整う、わたしたちの新定番48品』。
Instagram @arigakaoru
https://note.com/kaorun/
撮影・黒川ひろみ ヘア&メイク・レイナ 構成と文・越川典子
●お皿にもなる「フライパン ジュウ」(7,700円税込)と有賀さんの新刊『ライフ・スープ』(1,650円税込)をセットにして5名様にプレゼント!
「鉄製のお皿」と呼びたくなる「フライパン ジュウ」。外せる木製のハンドルと並べると「10」の字になることから、このネーミングとなった。そのままテーブルに出せて、「つくる」と「たべる」を一つにしたデザインが美しい。プレゼントはMサイズ(内径20㎝)7,700円(税込)を5名様に。有賀薫さんの新刊『ライフ・スープ くらしが整う、わたしたちの新定番48品』(1,650円税込 プレジデント社刊)とセットにしてプレゼント。どしどしご応募ください。
問合せ・TENT×藤田金属(株) ☎072・949・3221 https://jiu10.com/