【ずっと会いたかった人】動物作家・篠原かをりさんが語る生き物の魅力(1/2)
「生き物を知ることは、人間を知る上でも意味があります」という篠原かをりさん。TV番組『世界ふしぎ発見!』のミステリーハンターとしてもおなじみの動物作家です。幼いころからの生き物好きが昂じて、研究や執筆活動に。知れば知るほど奥深い多様な生き物の世界、その魅力を教えてもらいました。
※今回から2回に渡って、篠原かをりさんのお話を伺います。最後に、篠原さんおすすめの電動歯ブラシと著書とをセットにしてプレゼントします!
- ――著書『ネズミのおしえ』、とても面白かったです! ネズミって、笑うんですね?
- 笑います、ネズミ!(人間と)かくれんぼをして遊んで、笑うんです。笑い声はヒトの耳には聞こえない50000Hzという高周波なので、大学院時代、当時、私が飼っていたファンシーラットに実験台になってもらって計測もしました。私がなでると喜ぶことがわかって、うれしかったですね。ネズミって、仲間を見捨てずに助けるし、受けた恩を忘れないこともわかっています。生き物の世界って、目に見えない不思議にあふれていますが、こうして可視化することで理解が深まればいいなと思います。
- ――ファンシーラット協会は、世界中にあるそうですね。
- イギリスの団体が有名ですが、いくつかあります。実は、江戸時代には「珍玩鼠育草(ちんがんそだてぐさ)」というハツカネズミの飼育本が作られたくらいで、人気のパンダマウスはこの時代のハツカネズミが海外に渡って広まったものと言われているんです。哺乳類の半分といわれる2,000~3,000種類いるのがネズミ。ヒトとネズミの暮らしの歴史は日本だけではなく、世界中に残されているんです。
- ――ネズミの姿が人間の姿に重なって見えます。
- そうですよね。たとえば、自発的に回し車を回すネズミは、無理やり回し車に乗せられて動かしているネズミよりも、ずっと精神状態がよいとか。よく遊ぶネズミのほうが学習能力が高いとか。ネズミも選択しなかった道を後悔するとか。生き物を知ることは、同時に人間の姿を知ることでもあるんです。
- ――ネズミのほかに、タランチュラとフンコロガシが好きな生き物ベスト3とか。
- はい。「えっ」と驚かれることが多いのですが(笑)。「ネズミ苦手」「クモ苦手」と感じる人は、もしかしたら、まだその美しさに気づいていないだけかもしれません。
- ――知れば知るほど、魅力が見えてくる。
- そうです。たとえばパンダのように、目にする機会が増えるほど、人はその生き物の愛らしさや美しさを感じるようになります。すると保護を受けて、絶滅の危険度が減っていくわけです。カピパラも大人気ですが、お湯につかってまったりしている姿など、かわいさの見出し方が伝わると、その存在が認められる。一方で、ハゲワシなど、人の目にその美しさが見えにくい生き物は、年々絶滅のリスクが高くなってしまいます。死肉を食べるハゲワシの存在で、実は感染症などが抑えられているんですが、そういう事実は誰かが伝えていかなくてはなりません。
- ――幼い頃から、生き物が好きだったのですか。
- 大好きでしたね。とくに虫は、単純に形がかっこいい、とか面白いから入っていきますが、よく観察すると脚がたくさんあったりして、そこはかとなく「いい」という感覚から、学ぶことでどんどん深くなっていきました。今は、フンコロガシがいちばん好きです。奈良公園では、シカのフンの処理のためにすごく有益な働きをしていること、皆さん、ご存じでしょうか。
- ――フンコロガシ、エジプトのスカラベと同じですか。
- スカラベの一種ですね。約3万種いて、世界中にいます。古代エジプトで崇拝されていたのは、タマオシコガネ。美しい玉虫色です。壁画にも描かれていますし、フンコロガシがミイラになって、その形をした特別あつらえの棺に納められていたことも。虫はそのまま乾燥してしまうのに、わざわざ包帯に包んで棺に入れるということは、大事に後世に残そうとした人々の気持ちなんだと思います。砂丘の向こうから大きな円形状のものをころがしてくる姿は「太陽神」に重ね合わせたとも言われています。
- ――日が昇るように見えたのですね。
- そうです。完璧な球体を作りますから、そこに太陽や地球などの天体を感じ取っていたのでしょう。しかも、東の方から西へ転がしていたのではないのでしょうか。カラダはヒトで、頭がフンコロガシの神様もいるんですよ。
- ――自然の生き物を身近に感じて、神聖視もしていた?
- 虫だけじゃなくて、古代エジプトではトキに近い鳥の神様、ワニの神様、サルの神様もいます。ハチの描写も多くて、とくにミツバチは大事にされていました。日本は木蝋ですが、海外では蜜蝋として、灯りなど、生活を支えていましたし、人間と神や精霊とのメッセンジャーとしてミツバチを使っていた歴史もあります。誰かが亡くなったとか、一族の誰かが結婚したとかのときには、ミツバチに伝えないと、へそを曲げてしまうと言われていました。生き物に畏敬の念を払っていた時代を思い出さないといけないと思いますね。
- ――昆虫アイテムのファッションをよくSNSでアップしていますね。
- 生き物柄の服やアクセサリーは、好きで集めていますね。中学高校は、通っていた学校の文化に合わなくて、自己肯定感が低い時代でしたから。自分自身に興味が向き始めた大学に入った頃からでしょうか、表現できるようになったのは。トゲトゲのついた靴や飯ごう水さんくらいの厚底靴をはいたり(笑)。他人の目は関係ない。
- ――こうありたいと考える、表現の一つなんですね。メイクもとても上手です。
- メイクも面白い表現手段ですよね。私にとっては、南国の虫と同じ。強いイメージが好きなんです。虫もこういう形をすると相手がひるむとか、擬態して枝に見せようとかしているわけです。私も、髪の色をしょっちゅう替えます(笑)。1日中家にいるときさえ、しっかりメイクしています。なぜなら、「こうありたい自分」でいたいから。だから、夜は、しっかりメイクを落とします。今、使っているデルメッド バーム クレンジングはすごく優秀で、肌の上で溶けるようにメイクを落としてくれて、すっきりします。
- ――どういう自分でいたいと思いますか。
- 必要だと思うのは、自分そのものを漠然と肯定できる力。自分を認める力。他人が評価してくれなければ自分を肯定できない存在ではありたくない。そういう意味では、理想は母、でしょうか。人間の年齢を24時間にたとえたとき、27歳の私は朝の9時くらい。57歳の母は夕方の4時半くらい。そんな話を母としていたら、彼女は「4時30分? まだクラブに行って踊って、海に行って泳げる時間じゃん!」と言ったんです(笑)。その言葉通り、2年前に大学院に入って、無事修士を終えました。とにかく前向きで明るい。バブル世代ですから。自己肯定感の固まりで、勇気づけられます。
- ※次回の配信は、8月5日。篠原かをりさんが「伝えたい未来」についてお聞きします。
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篠原かをりさん(しのはら・かをり)
動物作家
1995年横浜生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業、同大学院修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。日本大学大学院芸術学研究家博士後期課程在籍中。幼いころから生き物をこよなく愛し、ネズミ、タランチュラ、フクロモモンガ、イモリなど様々な生物の飼育経験がある。驚異の知識量を武器にクイズ番組『Qさま‼』に初出場で優勝。『世界ふしぎ発見!』のミステリーハンター、『嗚呼‼みんなの動物園』『有吉ジャポンⅡ』などのテレビやラジオ、雑誌連載や講演会などで活躍。著書に『恋する昆虫図鑑』『LIFE<ライフ>人間が知らない生き方』『サバイブ』『ネズミのおしえ』など多数。
Instagram @kawori_rat
篠原かをり OFFICIAL WEBSITE
撮影・森山祐子 ヘア&メイク・広瀬あつこ 構成と文・越川典子
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