【ずっと会いたかった人】現代アートのギャラリスト・ローゼン美沙子さん(1/2)
ここは、東京・大塚にある現代アートのギャラリー「MISAKO&ROSEN」。登場するのは、オーナーのローゼン美沙子さんです。現代アートと聞くと、「難解」「わからない」と思う反面、ギャラリーのオーナーって一体どんな仕事なの? ギャラリストって何をするの? 俄然、興味がわいてきます。神秘のベール(?)の向こうにいる美沙子さん、教えてください。
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- ――知る人ぞ知る、現代アートのギャラリー。真っ白いキューブの中に立つと、思いのほか、居心地がいいですね。
- そうでしょ? 作品とじっくり対話できる空間です。基本、アーティストのファンか、ごひいきにしていただいているお客様が多いのですが、このギャラリー目指して来ました、という人も。ときには、購入に悩まれる方は納得いくまで何時間もいる人もいるんですよ~。
- ――ウィル・ローガンさんの個展。これは指、ですよね?
- はい。今は、アメリカ・バーモント州在住のアーティストです。4回目の個展になります。常に「日常で起こる現象の美しさ」のようなものをテーマにしています。これは、彫刻した指が、落ちていく人を押さえているだけで、この人の彫刻部分は、固定されていなくて、はさまっているだけなんですよ。マジック!? 一連の作品群……どうですか? ん? 言葉が出ないみたいですね(笑)。
- ――どう表現したらいいのか、考えていました(笑)
- 考えなくていいです(笑)。まずは、観て感じてください。現代アートって、人の目にはガラクタのように映るものの中にも美しさを見出す心、精神なんですね。アーティストのあり方や思想を、具体的な形で見せてくれるのが作品。私たちギャラリストは、それを理解して、新しい価値として世間に提示するのが仕事です。理解しようとすることは楽しいし、面白い。何をどう表現しているのか? 何を美しいと感じたのか? 私自身、毎回、作品から学んでいる気がします。
- ――ギャラリストというお仕事について、もう少し教えてください。
- 作品に新しい価値をつけて売る、つまり、マーケットに関わる仕事です。私の場合、扱うのが現代アートなので、今この時代を生きている作家、アーティストとは「家族」のような関係。アーティストたちがしたいことが実現できるように、私たちがマーケットにのせていく。ロンドン、NY、ロサンゼルス、香港、ブリュッセル、ミネソタ……と海外のアートフェアやアートシーンに積極的に関わり、お客様やキュレーターに会って、という営業活動もすごく大切な仕事です。
- ――現在進行形で、新しい美術史を作っている?
- その通り!! その作品に美術史的文脈があるかどうか。つまり、歴史に残ると思うかどうか。今を生きている社会のできごとに目が向けられているか、社会性があるかどうか。そういった視点で、アーティストと共によい展覧会づくりをしていくことが、アーティストのキャリア形成にもつながっていくんです。
- ――新しい価値を見出し、未来を作る……知的で刺激的、優雅なお仕事です。
- いえいえ、優雅なんて、とんでもない!! ギャラリストの仕事は力仕事です! 私、セントジェームズの回し者のように、1年中ボーダーを着ているのだけれど、それ以外はほとんどジャージを着ていますから。なぜかって、海外から作品が届いたら、梱包を解いて、展示をするためにドリルを使い、メジャーと水平器でもって、きっちり展示するまでが仕事。相当な力持ちです、私。
- ―――現代アートのギャラリーって、下手なことは言えないという緊張感が漂っていますが、美沙子さんは話しやすい。
- そうですか? なんでも聞きに来てください。JR大塚駅南口から徒歩7分。いつでもウェルカムです!! アートは難しいと思い込んでいる人が多いけれど、あえて加賀美健さんが作った「現代アートよくわからない」というバッジを胸につけてお迎えします、私。だって、子どもの描いた絵と、巨匠の絵と、どこが違う? って、わからなかったら考えますよね? そこに興味をもったら、もう現代アートに、あなたははまり込みます!
- ――なるほど(笑)。そもそも美沙子さんが現代アートに興味をもったきっかけは何ですか。
- 大学時代から当時現代美術の錚々たるアーティストを扱っていた小山登美夫ギャラリーに勤めて、大学を卒業後もそのまま働きました。そうしたら10年後、独立して現代アートのギャラリーを開いていました。飽きないんですね、現代アート。毎回、作品も違えば、展示方法も違うし、見に来る人も違う。毎回、よくわからないことが起きる。大変だけれど、楽しい、楽しいで、ここまできました!
- ――そんなご自分を、自己分析すると?
- ずっと(ヘアスタイルは)ボブだし、もうここ数年はボーダーしか着ないし。現代アートの仕事をしているのに、実はコンサバ(笑)。レストランでも、変わったメニューより、やっぱりハンバーグ! ってなる。TVが大好きで、「相棒」が好き。2時間ドラマも好き。何か食べながら、ドラマを見ているのが幸せ。眉をしかめて、画集を眺めているように見えます? え、見えない?
- ――美沙子さんのトークも、面白い!
- はい。私の使命は、現代アートを知ってもらい買ってもらうこと。だから、アーティストの加賀美健さん、題府基之さん、COBRAさんとやってる『Ken Kagamiのオールナイトすっぽんぽん』というラジオ風番組にも、アシスタントとして出演しています!! できるなら、TV『マツコの知らない世界』に出たい! 現代アートのテーマもう1回やらないですかね? 誰かのアシスタントやりますよ! これを読んだ関係者の方がいらしたら、ぜひご連絡ください~!
- ――2人ともボーダーがトレードマークですね。
- 似ているかも。ジェフリーは、150%ボーダーですが(笑)。どちらも、美容品が好きで。洗面所は家族3人でシェアしているのだけれど、化粧品の類は、実はジェフリーのものが60%占めています。ジェフリーの肌、きれいです(笑)。
- ――何をいちばん気になさいますか。
- 乾燥対策です! とくに、この冬は寒かったので、肌も乾いて大変でした。砂漠状態を救ってくれたのがこれ、デルメッド ディープモイスト オイルでした! しっとり潤って、ジェフリーも使っていたようで、大好評でした!
- ――美沙子さんのお肌もすべすべです。
- いや、肌そのものはシワもシミもできてきているけど、それはイヤなことじゃなくて、気持ち的には「中年バンザイ!」なんです。毎日楽しいし、充実している。私にとっては、若返ることが目的ではなくて、肌が健康でいれば、私はうれしいんですね。肌の調子がいいと、お化粧もしやすく楽しくなるので、気分よく、元気でいられるじゃないですか。
- ※次回の配信は、2022年2月3日。ローゼン美沙子さんに、現代アートの楽しみ方についてお聞きします。
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ローゼン美沙子さん(ろーぜん・みさこ)
ギャラリスト、「MISAKO&ROSEN」オーナー
1976年東京生まれ。大学在学中から「小山登美夫ギャラリー」にて働く。10年勤務したのち、2006年に独立。夫のジェフリー・ローゼンさんと共に現代アートのギャラリー「MISAKO&ROSEN」を設立する。国内外の多数のアーティストの個展を開催、世界のアートフェアに積極的に参加している。日本現代美術商協会(CADAN)理事。
MISAKO&ROSEN http://www.misakoandrosen.jp/
Instagram @misakoandrosen
撮影・黒川ひろみ ヘア&メイク・レイナ 構成と文・越川典子
アーティスト加賀美健さんによる、MISAKO&ROSENオリジナルトートバッグ、ウィル・ローガンさんの写真集とブローチをセット(合計12,100円)にして、5名様にプレゼント!
左は、ウィル・ローガンさん主宰のサンセットクラブの木彫りのメンバーピンバッジ(7,700円)。写真にはないが、ピンバッジが入っている箱の絵も、本人が描いている(かわいい)。そして、ウィル・ローガンさん撮りおろしのチャーミングな写真集(2,200円)。さらに、アーティスト加賀美健さんの加賀美フォントによる名言をプリントしたオリジナルトートバッグ(2,200円)を。バッグの文字は、「Art collecting needs good sense,but you can’t buy good sense.」希少なセットです。どしどしご応募ください!!