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【ずっと会いたかった人】特殊メイクの第一人者・江川悦子さんのこだわりとは(2/2)

まるでワンダーランドに迷い込んだかのような。人間の姿だけでなく、宇宙人や動物たちが迎えてくれる、ここは特殊メイクアップアーティスト・江川悦子さんの工房です。そもそも、なぜ特殊メイクを志したのか、そしてこれから手がけたいのはどんな仕事なのか、江川さんに聞いてみました。

※最後に、江川さん愛用の、アクリリックのリュックバッグのプレゼントがあります!

――人生の転機を教えてください。
編集者をしていたのですが、夫の転勤でロサンジェルスへ。英語の勉強のために映画をたくさん見る中で、『狼男アメリカン』というホラーコメディ映画に出合いました。CG(コンピュータ・グラフィックス)のない時代に、狼男に変身していく姿にすごく感銘を受けたんです。この作品の特殊メイクを担当したのが、リック・ベイカーというアーティストで、彼は、その年のアカデミー賞メイクアップ賞を受賞するほどの実力者。この世界だ! と思って、迷いなく飛び込みましたね(笑)。
――アメリカでは、特殊メイクを学び、映画のメイクスタッフに加わった。出産・子育てをしながらですから、大変でしたね。
たしかに、毎日、大変でしたね。でも、特殊メイクを学びたい! どんな方法をしているのか知りたい! という一心で、現場ではいつもわくわくしていました。だって、人間の顔を猿の顔に変えてしまうのよ。いかに上手に作るか、見る人を驚かせるか。知れば知るほど、面白かったですね。
今とりかかっているのは、北野武監督の新作映画。「『首』という作品で、現在、首ばっかり作っています。楽しみにしてください」
――顔を特殊メイクで老けさせたり、変身させたりすること以外に、人や動物も作っていますね。
はい。ダミー人形、動物の着ぐるみも作っています。映画『おくりびと』のご遺体も、人形を作ったのですが、実際に俳優さんが死体を演じる場合、どうしても微妙な動きが出てしまうことがあるからなんですね。
――たしかに。(工房の)ベッドに横たわっている男性も、リアルです。
ある俳優さんですね。リアルさは見た目だけじゃないんです。実際の重さ、触れたときの皮膚感なども、人間と同じように作ります。遺体を運ぶシーンなども、重さがないと演技がリアルでなくなってしまうんです。動物も同じです。ほら、この犬、鼻を触ってみてください。
――あ、やわらかい! びっくりしました!
足裏の肉球も触ってみて。ね? やわらかいでしょ。作り込むんです、見えなくても。そうでないと、映像を通して、偽物と伝わってしまう。たとえば、テレビドラマ『獣医ドリトル』や映画『旭山動物園物語』などでは、犬やゴリラの毛の固さはどうなのか、どんなふうに生えているのか、観察、研究して作る。
――この犬も、寝ているみたいです。
動物たちは、映画のためといっても、麻酔など使うことはできません。かといって、動き出すリスクは避けたい。なので、全く同じ犬、同じゴリラを作るわけです。
リアルなだけでなく、動く動物も作っている。
映画『旭山動物園物語』に登場したゴリラの着ぐるみ。映画では、中に人が入り、動いている。
――人間ではない異次元の生物は、作るのが難しいのでは。
架空のものを作るのは、面白いんです。三谷幸喜監督の映画『ギャラクシー街道』では、架空の宇宙人を創るわけですから、深海魚の図鑑を見たり、花の種子を顕微鏡で拡大してみたり。考えることがすごく楽しかったですね。
――宇宙人や妖怪、動物たちにも、キャラクターを感じますね。
宇宙人でも妖怪でも、魅力がなければ。怖いけれど惹かれる、ってあるでしょ。不快感だけではダメで、キャラクターが必要なのは、妖怪も動物も人間も同じです。そのためにディテールにこだわります。
――クオリティが求められると、ここはゆずれない部分も出るのでは。
ない、ですね。ここに納得がいかないと思ったら、監督なり、ディレクターなりに疑問を投げかけて、解消する。平行線で、歩み寄れない場合もありますが、私はその条件下で仕事をする。ムリです、できないです、とは言ったことがありません。
――プロですね。
予算もあれば、時間の制限もある。結果を評価するのは、評論家や世間がすることで、私はある条件の元でベストを尽くすというのが、仕事のスタンスですね。そこは、特殊メイクをはじめたときから変わりません。でも、悪条件でした仕事が最低だったとは限らないんです。その中で見つけた工夫、方法なども次への積み重ねになるから。仕事の幅が広がったという場合もあるので壁は作らない。いろいろあるから、大変だけど、面白い。
――CG(コンピュータ・グラフィックス)全盛の時代、どんなふうに感じていますか。
CGは、実は、原型がなければ動きは取り込めないんです。ですから、特殊メイクで作った造形物をPCに取り込んで加工してCGにする。共存時代だと思っています。人間のリアリティにはかなわない面もあって、デジタルのプレゼンと、リアルな造形物でのプレゼンとは、説得力が違うとは思っています。
――将来、してみたい仕事はありますか?
自分でデザインしたキャラクターで、いつか映画を作ってみたいかな。
メイクアップはイリュージョンであり、ディメンション。「3次元の幻想を作り上げて、もっともっとたくさんの人を驚かせたい」
――人の顔は気になりますか。
はい、よく観察しています。電車でも、みんな携帯の画面を見ているけれど、顔を上げているのは私くらい(笑)。顔は、相当な情報量をもっています。どこにシワがあるかで、性格や習慣、もしかしたら職業なども現れているかもしれません。
――美しいシワって、ありますか。
目尻の笑いジワはきれいですね。人間味が現れるところです。人格を表現するために、あえてやわらかく入れることはよくあります。逆に、眉間のシワは、難しい人格でしょうね。老けメイクをしたときも、一度、女優さんにほほえんでもらいます。そこに魅力的なシワができれば、大成功です。
――目元の印象は大きいですね。
そうですね。歳を重ねると、どうしても目元がぼんやりとしますね。私自身も感じています(笑)。何かつけなければと思い、適当なクリームをつけていましたが、目元専用のクリームだと効果が違うと、デルメッド アイクリームを使ってみてわかりました。なじんでくれて、肌にとどまってくれる。この冬は、メイクの上からでものせています。
目元の印象は、人の印象を大きく左右する。「デルメッド アイクリームは、安心感があります」

目元用薬用クリーム

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【情報】医薬部外品 【商品番号】333 【容量】15g(約2ヶ月分)

通常価格7,700円(本体価格7,000円)

●次回は、2月25日配信。現代アートのギャラリスト・ローゼン美沙子さんの登場です

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江川悦子さん(えがわ・えつこ)
特殊メイクアップアーティスト、メイクアップディメンションズ代表取締役

出版社勤務後、結婚を機に渡米。ハリウッドで特殊メイクを学び、映画スタジオで『デューン/砂の惑星』『ゴーストバスターズ』などに参加。特殊メイクの第一人者、リック・ベイカー氏に師事。1986年帰国後、制作会社メイクアップディメンションズ設立。『帝都物語』『血と骨』『ゲゲゲの鬼太郎』『おくりびと』『清須会議』『アウトレイジ』『旭山動物園物語』などの映画を始め、手がけた映像は、1500タイトルを超える。専門学校東京ビジュアルアーツ特殊メイク学科非常勤講師。大阪樟蔭女子大学客員教授。

HP https://mud.jp/
Instagram @makeupdimensions

撮影・黒川ひろみ ヘア&メイク・レイナ 構成と文・越川典子

江川悦子さん愛用のアクリリックのリュックバッグL(レンズホワイト)20,350円を、3名様にプレゼント。

リュックがトレードマークになっている江川さん。愛用のリュックバッグLをプレゼントします。デザイナーは、アクリリックの坂雅子(ばん・まさこ)さん。坂さんは、産業資材の魅力に惹かれ、シンプルで丈夫で、しかも軽いバッグやアクセサリーを作り続けています。素材から製造まで、すべて日本製。リュックバッグL(レンズホワイト)幅35×高さ40×奥行10(㎝)。

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