大好きな花を仕事にして、生き方も考え方も人間関係も、着るものすら変わったと話す、フラワーアーティストの前田有紀さん。40歳を迎えて、「これからの10年」をお聞きしました。
※最後に、オリジナルのスワッグと、前田さんプロデュースのイヤーカフのプレゼントがあります!
- ――花の仕事を始めて10年たちました。今のご自分を想像できましたか。
- こんなに楽しいなんて、想像以上です(笑)。前職は、人から見られ、評価されて仕事をしていた部分が大きかったですし、TV局の看板でなくてはならない。自分自身というより、どう見られたらいいか? どんな言動がふさわしいか? 周りに自分を合わせていました。今は、自分がしたいことを話し、自分の意思で動いています。
- ――印象もナチュラルになりましたね。
- 誰が決めるのではなく、自分で人生の舵をきっているので、大変だけれどストレスがないんです。いつも自然体でいられるし、自分が快適でいることがすごく大事なことだと感じています。もう、ジャケットやスーツなどは着ることはほとんどなくて、クローゼットも、天然素材の、気持ちよくいられる服ばかりです。
- ――今日のスワッグも、そばにいると香りで気持ちがよいですね。
- ブルーバードというコニファーやユーカリ、香りがいいものをあえて入れています。人が動くと、ふっと香りが立ちます。今日は、ネイティブフラワーを合わせて、クリスマスらしいスワッグにしましょう。これは壁に吊るして、10日くらいでドライフラワーにもなります。
- ――花束などのアレンジメントはどんなお気持ちで作るのでしょう。
- 「その人にとって意味のある花」であることがとても大事だと思っています。細かくヒヤリングして、やり取りの中で、花を贈られる方がどんな方なのか、何がお好きなのか、充分伺ってイメージを作ります。私の個性とか好みではなく、相手の方が主体。さまざまな企業とコラボレーションをしていますが、ブランドワークも同じです。
- ――コラボしている企業も、多種多様ですね。
- ファッションブランド、食品メーカー、ショップ、自治体……本当に。コラボワークの楽しさは、ある条件下でチャレンジングなトライをすることで、自分の可能性がどんどん広がること。青い花ばかりで花畑を作ったり、水に花をたくさん浮かべたり。ファッションブランドとのコラボでは、役目の終わった花をリデザインして用いました。
- ――とても評判がよかったと聞きました。
- 服の生地自体も、余剰生地で作られていて、ロスフラワーとともにアップサイクルするサステナブルな取り組みでした。見て、感じて、考えてもらえることがうれしい。今、鎌倉市で月に一度、子ども教室をしているんです。子どもたちって、「(飾ってある)花には触っちゃダメよ」と注意されるでしょう? そこを、たっぷり花に触れてもらう。恐る恐るさわる子、香りをかぐ子。中には、花にほおずりしている子どもさんもいて、見ている私もうれしくなるような光景です。
- ――花が身近に感じられるようになりますね。
- 花を買いに来てくださる人と話をしていると、皆さん、子どものころの花の記憶があるんですね。庭の花や故郷の野山の花、母親が活けていた花。原風景の中に花がある。だから、子どもたちに花に触れる機会を作ることが、未来へとつながるはず。地球環境を大切にしようと思う気持ちにも必ずつながると信じているんです。
- ――「売れ残った花を捨てない」のが、事業方針なんですね
- はい。売れ残っただけではなく、一度作品として使った花をアップサイクルするシステムも考えていきたいんですね。今は、ブーケにして、児童養護施設や子育て支援センターに届けたり、地域のコミュニティ「もったいないマーケット」に出したりしています。「初めて見る花がいっぱいだから」と、楽しみに待っていてくださる方も多いんです。
- ――花と出合う場所作りでもあるんですね。
- 幼いころに花に出合った記憶は、一生どこかにある。私自身も、そうでした。大きくなっても、道端に咲いている花にふと目をやったり、これは何という花だろうと思ったり。未来へのタネを、子どもたちの心に植えています(笑)。
- ――これからの10年、どんな活動をなさる予定ですか。
- 30代は、自分のしたいことを実現してきました。ブランドを立ち上げ、お店も構えることができました。40歳になった今思うのは、社会へ人へ、お返しをしていきたいということですね。花を通じて、社会や子どもたちの活動を支援する。一緒に仕事をするスタッフたちの思いを実現する環境づくりをする。そんなふうに思うようになりました。
- ――40歳という節目で、カラダについて感じることはありますか。
- それは、あります(笑)。着実に、カラダも肌も変化はしています。花にたとえてみると、咲きたての美しさって、ありますよね。でも、花は必ず枯れていきます。散っていく姿、散ってしまった花びらも、実は私、きれいだと思っているんです。花屋さんの修行時代は、古くなった花は処分するんです。でも、時間がたったその時の姿にある美しさもあって、それを引き出すのが、私の仕事。
- ――どんな女性が理想ですか。
- 何歳になってもチャレンジする姿勢がある女性。見た目はあまり考えないですね。シワも気になりません。笑いジワなら、笑っている時間が長い証拠。古い花も味わいが出てきます。でも、だからといって、ほうっておくのではなくて。日々「手をかける」ことの大切さを私はよく知っています。よく「私、すぐ花を枯らしちゃうんです」という女性がいますね。そういう方は、どんなタイミングでどう変わるのか、見てください。水を毎日変えて、茎を切って、お手入れすると、たとえ枯れてしまったとしても、花と過ごした時間はとてもいい時間になっているはず。
- ――手をかけることが大事なんですね。
- 私自身、子育てと仕事で手一杯です。エステや美容医療に費やす時間もない。毎日こつこつと手をかける時間しかもてません。だからこそ効果のあるものを選び、使いたいと思います。花の茎を切るのに、よい道具を選ぶように。私は今、デルメッド ホワイトニング スポットクリームを使っているのですが、毎日のケアで美白ケアができるのが、すごくうれしいですね。
- ●次回は、12月25日配信。特殊メイクの第一人者、江川悦子さんの登場です。
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前田有紀さん(まえだゆき)
フラワーアーティスト、スードリー代表
10年間テレビ局に勤務後、2013年イギリスに留学。コッツウォルズ・グロセスター州の古城で見習いガーデナーとして働いた後、都内のフラワーショップで3年の修業を積む。「人の暮らしの中で、花と緑をもっと身近に」という思いから、様々な空間での花のあり方を提案。2018年秋に自身のフラワーブランド「gui(グイ)」を立ち上げ、2021年4月に東京・表参道にフラワーショップ「NUR(ヌア)」をオープン。4歳と1歳の2人の子の母でもある。
https://www.sudeley-flower.com/
https://nurflowerinfo.stores.jp/
Instagram @yukimaeda0117 @gui.flower @nur_flower
撮影・森山祐子 ヘア&メイク・多絵 構成と文・越川典子