【ずっと会いたかった人】料理研究家・白崎裕子さんが、今だから伝えたいこと(2/2)
対面の料理教室の開催が難しい中、毎週土曜日に生配信するようになったオンライン講座「白崎裕子のレシピ研究室」が人気です。レシピを考えることが何より楽しいと話す白崎さんには、今だからこそ伝えたいことがありました。
※最後に、白崎裕子さん愛用の「山本電気のフードプロセッサー」プレゼントがあります!
- ――コロナ禍で「食」を見直した人は多いですね。
- 「何を食べるべきか」考えざるを得なくなりました。外食できず、家でご飯を作らなければならない。出来合いのものばかりでは、どうも体調がよくない。今まであまり食事を作る習慣がなかった人たちが困っています。日常的に食事を作ってきた人たちも、作る回数が増え、なるべく簡単に、できるだけ安心な材料で作りたいという声が多くなっているように感じます。
- ――1年前「レシピ研究会」を立ち上げ、参加されたのはどんな方ですか。
- 実は、3分の2は、今まで白崎茶会と縁のなかった方たちなんです。家で何を作るべきか考えたら「カラダにいいものを作りたい」「食事で免疫力をつけたい」と。今まで白崎茶会に参加できなかった地方在住の方、海外の方、アレルギーをもつ方、ベジタリアン、ヴィーガンの方が、わざわざ探して訪れてくれています。
- ――反響、あるでしょうね。
- 味見ができないのが残念だけれど、作る手順を何度も繰り返し見ることができるのがうれしいと言ってくれます。皆さん、オーガニックや自然食に興味がある方ばかりですから、レシピへの質問もとても多くて、すごくやりがいがあります! 料理教室を開けないのは苦しかったけれど、この形でしか伝えられなかったこと、この場でした理解できないことがあったのは、新しい発見でした。
- ――白崎さんが譲れないと思うことは何でしょう。
- 私はなるべく、もともと日本人が食べてきた材料を使ってレシピを作りたいんです。もちろん例外の材料もありますが、精製した塩ではなく、天然塩。くず粉も寒天も、日本が昔から和菓子の材料にしていたもの。外国産の小麦粉ではなく、地粉ならたったひとつの粉でパンもケーキもうどんも餃子の皮も作れます。ドイツ人が黒パンを食べるように、インド人がチャパティを食べるように、フランス人がバケットを食べるように、日本人は、日本で作られ、食べられてきたものをなるべく基本にしたほうが、いろいろな意味で効率がよく、生きやすいと思っているんです。
- ――発酵食品にも力を入れています。
- 「発酵」は昔から大きなテーマです。白崎茶会のレシピも、発酵食を使っていないレシピがないくらい、何にでも使っています。発酵って、料理の技術と関係ないところで、勝手にすすんでくれます。たとえば、料理が得意なのに、発酵が上手くすすまない人もいれば、料理はどちらかというと苦手なのに、どんどんおいしく発酵がすすむお家もあるのが面白いですね。
- ――不思議ですね。
- その人自身の菌、お家の中に棲みついている菌の影響もあるんでしょうね。今、すべてを除菌して暮らしていますが、もっとよい菌と同居できる形を目指すのがいいと思っています。実際、ぬか漬けや梅干を漬け始めたり、味噌づくりを始めたりする人が多い。今この時代だからこそ、大切にしたいテーマですね。
- ――どんなお子さんだったのですか。
- 教師の両親が共働きでしたので、小学生のころから料理は毎日です。お弁当も自分で作りましたし、妹の遠足のお弁当も私が担当。お菓子も焼いていましたよ。ザルで粉をふるって、お箸を束ねて泡立て器にして、無水鍋で焼いて、混ぜ方は……と、細かく書き留めたレシピノート、まだ持っています。
- ――レシピのことを1日中考えている今の白崎さんと変わりません。
- たしかにそうですね(笑)。いつでしたか、「気分転換には何をしていますか?」と聞かれたとき、「料理しています」と答えたことがありました。笑っちゃいますよね。でも、本当なんです。教室用のレシピで煮詰まったら、うちで食べる家庭料理を作る。お菓子のレシピで煮詰まったら、おかずを作る。そうすると不思議と気分がすっきりしてきます。もっとおいしくなると思えたら、分量を変えたり、焼く時間を変えたり、試作をくり返します。
- ――正解を探すわけですね。
- 何十通りもレシピを考えるのは、理由があるんです。たとえば、アーモンドプードル(アーモンドの粉)が入っているマフィンは、ナッツアレルギーの人は食べられませんよね。では、代わりにコーンスターチを使うとなると、一体どのくらい必要になるのか。食感はどう変わるのか。他の食材の配合をどう調節すればいいのか。あらゆる可能性を考えるからなんです。
- ――レシピブックの表記は、大匙やmlじゃなく「g」で統一しているのはなぜですか。
- それは、1つのボウルの中で計量しながら、すすめられるから。とくにお菓子のレシピは、大さじ、小さじで量るよりも、正確にできるんです。しかも、洗いものが少なくてすむ。
- ――なるほど! 近くで見ていると、まるで実験しているように感じますね。
- 実験好き、あるかもしれません(笑)。実は、母方の叔父が発明家でした。亡くなった祖父が麹町で豆腐店をしていたのですが、独自の方法でとてもおいしいお豆腐を作っていて、「ずいぶん遠くからも買いに来てくれていた」と元気な頃はいつも自慢していました。叔父はその祖父にしか作れなかったお豆腐を、勘や経験ではなく、科学的に再現できる機械を発明したんです。目指すものがあり、答えを探す工程が楽しいと感じる私のルーツはここなのかもしれません。
- ――化粧品づくりにも通じていますね。
- 試作、試作、実験、実験の積み重ねは同じですね。昔から伝わる素材を探したり、新たな素材を見つけたり。目標に到達する道筋をいくつも考えて、試す。きっと大変だったろうな、と思う製品のひとつは、デルメッド バーム クレンジングです。
- ――どんなところですか。
- 肌にのせると、すっと水のように変化して、オイルっぽさが残りません。1回ですっきり。落としたあとは、しっとり。絶妙な配合なのでしょうね。実は若い頃、何を肌につけても合わない時期があって、それ以来、顔もカラダも髪も同じ石鹸で洗って、つけるものもオイルだけ。それで困ったことはほとんどないのですが、人前に出るときはメイクをしますので、きちんと落としたいですし、きちんとスキンケアをすることが「自分を大事にしている」ように感じられて、何だかうれしくなっています。
- ●次回は、10月21日配信。ネイルアーティストのHana4(ハナヨ)さんの登場です。
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白崎裕子さん(しらさき・ひろこ)
料理研究家、オーガニック料理教室「白崎茶会」主宰
神奈川県逗子市の自然食品店「陰陽洞」が主宰する料理教室講師を経て、葉山町の海辺の古民家で料理教室を始める。全国から参加者が訪れ、予約のとれない料理教室として知られているが、現在は、対面の教室を避け、オンライン料理教室「白崎裕子のレシピ研究室」を開催。毎週土曜日21:00~動画を配信、人気となっている。著書『白崎茶会のあたらしいおやつ』『へたおやつ』(ともにマガジンハウス)は2年連続で料理レシピ本大賞・お菓子部門の大賞を受賞。新刊に『白崎茶会の発酵定食』がある。
白崎茶会 http://shirasakifukurou.jp
Instagram @shirasakichakai
撮影・青木和義 ヘア&メイク・レイナ 構成と文・越川典子
白崎さん愛用、山本電気の「フードプロセッサー YE-MM41(21,450円)」を2名様にプレゼント!
白崎さんが愛用しているフードプロセッサーがこれ、山本電気の「フードプロセッサー」です。高性能モーターで、ハイスピードでも低速でもパワフル。刻む・砕く・おろす・する・こねる・混ぜる・泡立てる・ひく、が自在にできます。「アイスクリームが1分でできるので、この夏は毎日のように作りました。他にも、ナッツペーストなども早く、簡単にできます」と白崎さん。もう一つ、白崎さんが評価するのが、ステンレスボウルだということ。冷めにくく、溶けにくいので、温・冷・液体・氷もOK。「ボウルが別売りしているので、2つ持っていれば、同時に調理ができます。洗いやすいのもいいですね」(白崎さん)。日本製。どしどしご応募ください!
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