【ずっと会いたかった人】京都でオーダーメイドの靴を作る長谷川良子さん(1/4)

2020.9.24

ここ京都は北野天満宮のすぐ隣に、もとは駄菓子屋さんだったという古民家がある。屋根を見上げれば、端正な「GROWOLD(グロウオールド)」の文字。工房のオーナーは、ハンドメイドの靴を作る長谷川良子さんだ。「手のひらにつつまれるような靴」を目指して12年目に。靴も人も、時を重ねることに価値を見出す長谷川さんのお仕事、知りたくなりました。

※今回から全4回にわたり、長谷川良子さんにお話を伺います。すべて手縫いの革製ルームシューズのプレゼントもあります。

――もともとはCA(キャビンアテンダント)でいらしたそうですね。靴職人へ、大きな転身ですね。
アメリカに留学していたこともあって選んだ職業でしたが、CAは、私には合いませんでした(笑)。石の上にも三年と、がんばったのですが、3年たって石から降りました! 思えば、結婚してドイツに渡ったのが、私の人生の大きな転機になっています。ドイツで出産して、子育て。そこで見知ったベビーシューズに惹かれて。なんてかわいいのだろうと。近くの森の中を、息子を抱いて散歩しながら、私もいつか息子に手作りの靴を作ってあげたい、という気持ちが芽生えたのかもしれません。
――「GROWOLD」のベビーシューズは、中敷きに名前と誕生日を焼き入れしてくれると聞きました。
はい、一生の記念にしてほしいからなんです。ヨーロッパでは、革製のファーストシューズを一生手元に残しておいて、子どもの成長をその靴とともに見守っていく……そんな習慣も心に残っていたんでしょうね。帰国当時住んでいた神奈川県茅ケ崎市の「ノグチ靴工房」で靴作り教室に出合ったことがきっかけでしたが、ちょうどその頃、離婚したこともあって、靴作りを一生の仕事にしようと決めたんです。
ドイツで初めて知った、子どものためのファーストシューズ。息子のために買ったものの、残念ながら足に合わず。
「小学校入学までは私の手作りの靴もはいて、息子は育ちました」(長谷川さん)
――いきなり工房を構えてしまったのですか?
そうですね(笑)。決めたら、行動は早いです。考えていても始まらない。今始めないと、と。はじめは茅ケ崎のアパートの一室をアトリエに。のちに、東京・青梅市の古民家を工房に。2016年には京都に移り、「GROWOLD」を開きました。京都に決めたのも、移住した友人の「京都もいいわよ」のひと言で決断(笑)。しかも、サイトで一番はじめにチェックした店舗が気に入って、すぐそこに決めてしまったんです。
――「GROWOLD」も今年で4周年。5年目に入りました。
今では全国から、ときには海外からお客様がいらしてくださるのですが、当初は誰も入ってきてくれず、ひとり息子と2人、先々どうしようかと途方に暮れたことも。実は、「GROWOLD」は、天神さん(北野天満宮)から1分。月に1回の骨董市にいらっしゃる方が訪れてくださることで少しずつ知っていただけるようになったんです。「私の足に合う靴がどこにもないから」「ベビーシューズを、これから生まれる子に贈りたい」――いろいろなお声をかけていただいています。
手作りの靴たちは、長谷川さん好みの雑貨とともにディスプレイ。
「靴や足の小物があると、つい集めてしまいます」と笑う。居心地のいい空間だ。
――今では、靴を注文して1年待ちと聞きましたが。
いえいえ、今は、コロナ禍で、1年かからず、半年くらいでお渡しできます。ベビーシューズやルームシューズはネットやお電話での注文も可能ですが、基本は「対面」でご注文をいただいています。お話を伺いながら足を採寸、木型の補正、そのあと制作にかかります。お一人お一人、お顔や性格が違うように、足も違う。本当にその方が望む靴を作りたいという一心で、対面にこだわっているんです。
――自分のための、世界にひとつだけの靴、うれしいですね。
オーダーメイドなので、基本的にはどの靴も世界に一足です。靴の外側も内側も、革の色を選ぶことができます。ステッチの色も、です。基本的なフラットシューズやブーツがメインですが、足に問題を抱えた方、糖別なお悩みのある方には様々なアレンジを加えて、オリジナルのデザインを起こすこともしています。サンダル類も型はいくつかあるのですが、友人から「お花のついたサンダルがほしい」と言われて誕生したデザインも。フラワーサンダルといって、今でも作り続けています。
定番のデザイン。左から、バルモラル ショート ブーツ 60,000円、ベビー モカシン 14,000円、プレーン シューズ 34,000円。革も糸も、色が選べる。両端はどちらもレディース。
――長谷川さんの靴は10年もつと言われています。
10年、できれば20年と履いてほしいと思っています。見てください、この靴。最初は、紺色のブーツだったのが、次第にカーキ色に変化する。経年変化の面白さもありますが、修理に出していただき、ソールや中敷きを交換したり、ステッチの縫い直しをしたりして、また新たな表情を見せてくれます。定期的なお手入れをすることで、靴の寿命が全然違うことも伝えたいと思っています。
――では、どんなお手入れ法をすればよいのでしょう。
「皆さんがお肌をお手入れするのと同じように、革もお手入れしてください」とお伝えしています。すると、よくわかってくださいます。汚れをきれいに取り去り、クリームを塗りこんでいく。これって、自分の肌にするのと同じですよね? 特別なことはしませんが、私も夜は、デルメッド プレミアムローション、エッセンスをたっぷり。朝は、それにUVベイスを。シンプルだけど、続けることが大事だと思います。
左から、デルメッド プレミアム ローション、エッセンス、UVベイス。
「革のお手入れも、肌のお手入れも、良質な水分と油分でケアすることが基本」(長谷川さん)
https://www.dermed.jp/store/item/00350.php?utm_source=DS&utm_medium=HSGW1
●第2回は、長谷川良子さんに、靴作りに魅せられた理由をお聞きします。お楽しみに!

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長谷川良子(はせがわ・りょうこ)靴職人

「GROWOLD(グロウオールド)」主宰ー

アメリカで大学卒業後、国際線客室乗務員として勤務。生花店を立ち上げたのちに、結婚してドイツに在住。革の子ども靴に興味を抱き、靴の製作を本格的に学び始める。2009年、神奈川県・茅ケ崎市で靴工房「Waldweg」を立ち上げ、のちに東京・青梅市に工房を構えるが、2016年京都市に移住。ブランド名を「GROWOLD」と改める。国内外からオーダーを受け、半年から1年待ちの人気の工房に。

https://www.growold.jp/
Instagram@growold_shoes

撮影・青木和義 ヘア&メイク・桒原千鶴(HAIR PITS) 構成と文・越川典子

「GROWOLD」オリジナル、すべて手縫いの革のルームシューズ15,000円(税別)を3名様にプレゼントします。

表は足なじみのよいイタリアの牛革を、裏地には肌触りのよい国産の豚革を使用。保湿性、通気性ともに優れ、1年を通じて使えます。履くほどに、革がなじみ、履き心地も育っていくのがわかります。ステッチのほつれ、クッションの交換などのメンテナンスも受けてくれるので、長く愛用できます。色は全4色の中から、人気のカーキとキャメルを選びました(色指定はできません)。ふるって、ご応募ください!