この世界に250体のオオカミちゃんを誕生させた、アーティストの黒田有里さん。日々、制作は続いているそうですが、黒田さんは「オオカミちゃんのこれから」をどのように思い描いているのでしょうか。
- いまのオオカミちゃんは以前の子より、抱くとずっしり重いですね。
- はい、乳幼児より軽いと思いますが(笑)、以前よりもっと「立つ」ということを重視したら、必然的に重くなりました。型紙を修正したり、材料を見直したり、素材を変えたり、全体的によりしっかりしたものになったと思います。オオカミちゃんたちも進化しています。実は私、いつか3000体のオオカミちゃんが一堂に会しているところを見たいと思っているんです。想像すると、すごくないですか? 夢なんです。そのために3000体を作ることが今最大の目標です。でも、たとえば「集合!」と言ったら、全国、世界中にいるオオカミちゃんたちが再び集まってくれる。そして「うちの子」を見に来てくれる人々とも再会できる。これはもしかしたら、みんなを巻き込んだ参加型インスタレーションになるのでは? と、わくわくしています。
- 3000体集合のために、これから何をしていくのでしょう?
- オオカミちゃんとヨーロッパ旅行をしてわかったのは、彼(彼女)が立つところに一つの世界ができあがるということです。たくさんの人が集まってきて、コミュニケーションが生まれる。皆、驚きの表情を浮かべ、そして笑顔でした。1体でもそうだったのに、それが3000体もいたとしたら! 砂漠で、教会で、美術館で、3000体が立っている景色を、空間を、大勢の人々と驚きと喜びをともに体感したい! それを見に行くための人々を運ぶため、オオカミちゃんが描かれた「オオカミちゃんジェット」が世界中を飛んだら! 妄想はどんどんふくらみます(笑)。ただ、このままでは、それもただの夢。実現するには、まずは一気に500体くらいは作れる体力と精神力と、そして制作体制を具体的に考えるのが大きな課題だと思っています。
- オオカミちゃんのいる空間は、どこで感じられるのですか?
- 2020年は、秋、九州の福岡で。今、その日に向かって準備中です。基本的にオーダーは受けていないので、個展で出会っていただけたらうれしいです。福岡は、100体以上と思っています。ぜひそこで、大勢のオオカミちゃんに直にふれて、その空間を体感してほしいと思います。もっと、たとえば天井の高い大きい空間や、あるいは屋外(笑)などで見ていただく機会もあるといいなぁと、強く願っています。
- 今は、制作と制作の谷間ですね。そんなときは何をしていらっしゃるのですか。
- 次の制作に入る前は、材料をそろえたり、ハサミなどの道具をすべてメンテナンスします。ベストな状態で制作に入るために必要なんですね。自分自身も整えます。カラダを休め、自然の中や美術館に行き、リフレッシュすることもすべてがオオカミちゃんを作ることにつながっています。毎日のスキンケアでも、いちばん大事にしているのは、きれいにその日の汚れを落とすこと。肌を初期設定に戻すこと。そのために、デルメッド バーム クレンジングです。肌にのせるとすっととけて、さっとメイクを落としてくれる。毎日、この時間でリセットできている気がしています。
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黒田有里(くろだ・ゆり)
アーティスト
1971年北海道生まれ。20代からぬいぐるみ作家としてスタート、2008年「黒ねこ事務所」を設立。ぬいぐるみやドローイングなどの作品を発表する。2017年から本格的に「白いオオカミ」の制作に入り、毎年100体ほどインスタレーションとして発表を続ける。個展会場では毎回、「白いオオカミ」の圧倒的な存在感が注目を集め、入手困難なほど人気に。2020年9月、九州・福岡の「krank marchello」にて大きな個展を予定している。
Instagram @necoquero
撮影・黒川ひろみ ヘア&メイク・レイナ 構成と文・越川典子