会いたかった人
【ずっと会いたかった人】和菓子作家の坂本紫穗さん(3)
国内外で活躍する和菓子作家の坂本紫穗さん。和菓子の可能性を信じ、さまざまなものとコラボレーションしています。紫穗さんの話を聞いていると、和菓子ともっと仲良くなりたくなります。
- 最近では、海外で和菓子の人気が高まっていますね。
- 和菓子ファンが多いニューヨークをはじめ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ミラノ、シンガポール、香港、韓国、パリ……と、多いときは年に3~4回ほど海外で和菓子を披露しています。「和菓子を見たことはあっても食べたことがない」という人がほとんど。身近に感じてもらうためにモチーフはその国の人がわかるものにしています。たとえば「雨」「薔薇」「桜」「波」など、イメージが浮かぶものですね。作品に乗せた私の想いと食べた人の感性がシンクロするといいなと思っています。食べてみると「想像していたより甘い」と言われることが多いのですが、「お茶がおいしく感じませんか?」と返すと、深くうなずいてくれる。マリアージュの感覚ですよね。各国の飲み物と和菓子とのマリアージュの可能性。考えるだけでワクワクします。
- 紫穗さんの和菓子作りを追った映画が、海外で賞をとりました。
- 和菓子が仕上がるまでのプロセスを撮った8分ほどのショートフィルムなのですが、ニューヨークで開催された「The Food Film Festival 2017」で「Best Food Porn Award」を受賞しました。上映会で登壇したら、「心に響いた!」「あなたの世界感がとても好きよ」「息を止めて見入ったよ」など本当にたくさんの方に声をかけてもらい、夢のような時間でした。和菓子の魅力をたくさんの人に伝えたい。その想いが強くなりましたね。最近では、ジュエリーブランドとのコラボも多いのですが、いろんな方に和菓子を身近に感じてもらえるよいきっかけになっています。ジュエリーと和菓子は相性がよいかな、と。お互いに「小さくて想いのこもったもの」という共通点があるのかなと思います。
- 大人の和菓子のたしなみかたを教えてください。
- 抹茶や緑茶に合わせるのもいいですが、紅茶やコーヒー、ハーブティーなど、「合わせてみたいな」と思った飲み物と一緒にいただくのはどうでしょうか。ご自身の直感を、ぜひ大切にしていただきたいです。日本酒やウイスキーと合わせるのも大人ならではの楽しみ方。コーヒー豆の種類や焙煎の具合、日本酒の銘柄など自分の好みに合わせて追求していくのもいいですね。和菓子はとても魅力的な食べ物。さまざまな飲み物に寄り添い、音楽、言葉、絵などアートにも寄り添う。和菓子の可能性は無限大。本当にそう思います。
- 人前に立つことが多いですが、心がけていることはありますか。
- なんとなくですが、印象がポジティブなものであってほしいなと思います。たとえば、よく笑う、テキパキ動く、はっきりと話す、しっかり聞く……といったところでしょうか。できれば一緒にいて、居心地のよい人でありたいなと思います。そういう意味でも、肌も心もうるおいが大切ですよね(笑)。とくに目元は気になるパーツのひとつ。じっとお菓子を見つめたり、長時間細かい作業を行うからか、疲れが出やすいのです。毎日のケアを習慣にして、目にしっかりと力のある状態にしたいと思います。
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坂本紫穗(さかもと・しほ)
和菓子作家
1982年生まれ。オーダーメイドの和菓子を作品として制作・監修。国内外で和菓子教室やワークショップを行う。メディアでの和菓子監修のほか、安倍昭恵内閣総理大臣夫人主催茶会(総理公邸)での茶菓子提供、和菓子屋「宗家源吉兆庵」とコラボレーション、和菓子を介して環境問題に取り組むなど活動の幅を広げている。
https://shiwon.jp/
Instagram @shiwon.wagashi
Facebook @wagashi.shiwon
撮影・青木和義 ヘア&メイク・広瀬あつこ 文・高橋顕子 構成・越川典子
プレゼント 陶芸家・田村一さんのオリジナル菓子皿 2枚セット
抽選で5名様に、陶芸家・田村一さんのオリジナル菓子皿「plate “through water” 」を2枚セット(直径14.5cm)でプレゼント。坂本紫穗さんがリスペクトする陶芸家の田村一さん。小川に積もった雪の下を流れる水をイメージした作品です。益子焼の制作を経て、故郷・秋田県で「秋田の冬の景色」をモチーフにした作品を手がける田村さん。この器を使いたいから和菓子を用意する。そんなおやつ時間をお楽しみください。