あの頃の男の子は女の子にかっこ良く古着を選びました。
わたしが25歳くらいの頃、東京・渋谷の並木橋交差点の角の中華料理屋さんの地下に、小さなセレクトショップがありました。そこは親しくしていたスタイリストの友人たちが関わっていたショップで、彼らはオープン前にロンドンへ古着の買い付けに行ったり、自分たちのオリジナル・ブランドを展開したり、服飾業界に携わる若者たちの挑戦してみたいことをひとつひとつ実現していました。その頃、童顔の上に腰まであるロングヘアだったわたしは、仕事で甘く可愛らしい洋服を着ることが多かったので、プライベートではボーイッシュなコーディネートを好むようになっていました。そして、男の子が選ぶ「かっこ良い女の子」のコーディネートというものを、このショップで教わりました。
冬のお守り。
冬の朝、バス停でバスを待つ数分の手の冷たさ、一日の中で一番「寒い」と感じる時間のように思います。30年近く使っているラルフ・ローレンの手袋はこの上無く柔らかい革です。友が編んでくれたニットのハンドカバーと、それに合わせたアイボリーの手袋も長く愛用しています。手袋とハンドクリームは必需品。冬のお守りです。デルメッドの薬用ハンドクリームは香りが柔らかくて、公共の乗り物の中でも、食事の前でも、いつでも気兼ねなく使うことができるので、鞄の中にも家でも手の届くところに置いています。寝る前にはくるくるくるくるとネイルケア クリームとセットで。冬はたっぷりと手を甘やかしましょう。
海苔弁が食べたくて。
5年ほど前の短編映画の撮影で、同僚の女性3人が屋上でお弁当を食べるというシーンがありました。監督のご要望で、女優3人は各々自分たちでお弁当を作って撮影当日に用意しました。お弁当は個性が出るものですね。ひとりはご飯の上に大きなたらこが載っていました。もうひとりは大きなまん丸のおにぎりでした。わたしは焼いた鮭と玉子焼き、トマトのサラダと人参の塩きんぴら、そして二段の海苔弁という欲張り具合。海苔弁は大好きなのに自分で作らない限り、なかなか食べる機会がありません。「あぁ、そろそろ海苔弁が食べたい」と思っていたら、曲げわっぱをとても手頃な価格で手に入れる機会がありました。勇んで二段海苔弁を作って、家族も大喜びでめでたしめでたし。
家のあちらこちらにバリ。
ちょっとここに小物をしまえる引き出しがあれば良いのに、と思うとそのスペースに合わせてバリのアルミの蓋付きの箱を用意します。大きさもまちまち。これは移動が可能ですから、とても使い勝手が良いのです。気が付けば、家の中のあちらこちらにバリが。レターセットやポストカード、コードやUSBなどのパソコン周りの細々した物、きれいな柄のペーパーナプキン、雑多な物もこの箱に入っているとちょっと良いみたいです。大きなキャビネットを置くよりも、わたしの暮らしに対応してくれています。
優恵
ゆえ
モデル・俳優。ティーン誌『mc Sister』の専属として活動を始め、カバーモデルをつとめる。『non-no』『SO-EN』など多くの女性誌、TVコマーシャル、ファッションショーなどで活躍。20代後半からは映画、ドラマに出演し、活動の場を広げる。近年の出演作品に、美玖空トライアル公演「女は女で、女である」(2021・美玖空 脚本/演出)、『秘密のフレグランス』(2021・富田大智 監督)、『Motherhood』(2019・萬野達郎 監督)、『しあわせだったにゃよ』(2019・利重剛 監督)、『午後の悪魔』(2017・中村真夕 監督)、『アイズ』(2015・福田陽平 監督)、『PASSION』(2008・濱口竜介 監督)、インスタシネマ『女図鑑』(2019・美玖空 脚本)などがある。ドラマとファッションとおいしいものと花をこよなく愛する。フォトエッセイ『昼寝の前に』を連載中。https://6ropeway6.com/
撮影・青木和義
文と写真・優恵