明けまして、おめでとうございます。
菓子研究家の福田里香です。
昆布で〆た魚と味付けした卵のそぼろをのせたお寿司を「黄身寿司」といいます。
見た目もパッと華やかで、年の始まりに相応しい。
お酢が入っているので、すぐに食べなくても味が落ちません。
手鞠寿司にすれば、簡単に作れます。
さあ、作ってみましょう(※調理時間:実働60分)。
まずは「白身魚の昆布〆め」から。
【昆布〆め材料(手鞠寿司12~14個分)】
20×8cmの昆布 | 2枚 |
ひらめ、かれい、鯛などの白身魚の刺身 | 12~14枚 |
米酢 | 適宜 |
塩 | 2つまみ |
はじめにざっくり手順を解説すると……
昆布〆めした切り身に、
カボス果汁入りの酢飯をのせ、
ラップできゅっと絞り、
卵の黄身に酢と砂糖、ゆでた芋を混ぜたそぼろを飾る……です。
バットにペーパータオルを敷いて、重ならないよう切り身を並べ、塩をふって10分置く。
水気が出たらペーパータオルで押さえて拭き取る。
切り身に塩をしている間に、2枚の昆布の両面をお酢で拭く。
切り身を昆布の上に重ならないよう並べる。
もう1枚を重ね、ラップフィルムでぴったり包み、冷蔵庫で一晩寝かせる。
4~5時間でも大丈夫です。
夜に仕込んで翌日の昼か夜に食べる、
または、朝に仕込んでその日の昼か夜に食べる、
昼に仕込んでその日の夜か翌日に食べる、
というタイムスケジュールになります。
つぎは、酢飯を炊きましょう。
【酢飯材料(作りやすい分量)】
米 | 2合 |
(A) | |
米酢 | 40ml |
かぼす果汁 | 20ml |
きび砂糖 | 大さじ2 |
自然塩 | 小さじ1 |
かぼす果汁の芳香と酸味が隠し味です。
生がなければ、市販のかぼす果汁を使って。
(A)を軽く温めて砂糖を溶かしておく。
少し固めにご飯を炊き、熱々を大きなボウルに移し、(A)をまわしかける。
しゃもじで切るように大きく混ぜて、熱を取る。
室温に冷ます。
ご飯を炊いている間に、黄身そぼろを作りましょう。
【黄身そぼろ材料(手鞠寿司12~14個分)】
ゆで卵の黄身 | 2個分 |
ゆでじゃがいも | 40g |
米酢 | 40ml |
きび砂糖 | 大さじ2 |
自然塩 | ふたつまみ |
じゃがいもを柔らかくゆでる。
皮をむき、熱々のうちに漉し網でボウルに漉し入れる。
冷蔵庫から出したての卵を沸騰した湯に入れて12分ゆでる。
(このとき、お酢を小さじ1程お湯に入れると白身が湯に漏れ出ません)
卵を冷水に取ってカラをむき、黄身を取り出し、漉し網でじゃがいものボウルに漉し入れる。
じゃがいもと黄身のボウルに残りの材料も加え、泡立て器でよく混ぜる。
均一に混ざったら、10×8cm程にまとめて、ラップフィルムでぴったり包み、冷蔵庫に入れる。
一晩置いた切り身は、昆布の旨味が染みて透き通ります。
(山葵をちょっと付けて、これだけで食べてもおいしいんです!)
ラップフィルムの真ん中に切り身を1枚置き、酢飯40gをのせ、キュッと絞り形を丸く整える。
バットに並べて廊下など涼しい場所に置いて、出番待ち中。
ご飯が固くなるので冷蔵庫には入れません。
では、仕上げていきましょう。
ラップフィルムを外して、器に盛り付ける。
お寿司の個数に合わせて、黄身そぼろを等分に切り分ける。
黄身そぼろを指でキュッと摘んでのせれば『ひとくち黄身寿司』のできあがり。
おまけのレシピは
『淡雪ドレッシングのゆで野菜サラダ』。
余ったゆで卵の白身はみじん切りに。
ボウルに入れたまま、泡立て器を上からトントンと押し付けてつぶすと簡単にみじん切り状になる。
まな板に移して包丁で刻む手間を省けますよ。
味見しながら、お好みでマヨネーズ、ヨーグルト、マスタード、塩等を適量加えて混ぜれば、ドレッシンクのできあがり。
ブロッコリー等のゆで野菜と和えてサラダに。
雪景色を思わせるドレッシングは、あっさりした味わいで疲れた胃にうれしい。
ちょっとひと言
酢飯に混ぜたかぼす果汁には、コラーゲンを合成するビタミンCが多く含まれ、酸味の元のクエン酸には乳酸を分解し疲労回復を早める働きもあります。
それから、じつはこんなところでも活躍しています。
福田 里香(ふくだ・りか)
お菓子&料理研究家
1962年生まれ。武蔵野美術大学卒業。果物の専門店・新宿高野に勤めたのち、独立。漫画への造詣が深く、作品に登場するフード(食べ物)表現を考察した『ゴロツキはいつも食卓を襲う フード理論とステレオタイプフード50』(太田出版)は注目を集めた。フルーツを使った独創的なスイーツや料理にも定評があり、雑誌でフードコラムを担当するほか、『新しいサラダ』(KADOKAWA)、『いちじく好きのためのレシピ』(文化出版局)など著書多数。民芸にも詳しく『民芸お菓子』(エイ出版)がある。
Instagram @riccafukuda
撮影・青木和義
料理作成、写真と文・福田里香